品薄が続いている「パルスオキシメーター」の意義

肺の状況を知るには、CT検査だけでなく、指にはめるだけで簡単に血中の酸素飽和度(SpO2)を測れる「パルスオキシメーター」という器具もある。

製造メーカーのコニカミノルタは、新型コロナの感染判断の需要が急増し、品薄が続いていることから「医療現場の重要な製品であり、急性呼吸不全を起こす可能性がある家族がいない場合、一般家庭での購入は控えてほしい」と呼びかけている。パルスオキシメーターは急性呼吸不全を起こすリスクの高い人にとって必需品だ。そうした人たちが買えなくなることは避けなくてはいけない。

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ただし、今後、量産体制が整えば、広く使えるようにしたほうがいいだろう。パルスオキシメーターの数値をみて「正常だから感染していない」とはいえない。一方で、もし数値に変化があれば、「沈黙の肺炎」が進行している恐れがある。数値だけで自己診断をしてはいけないが、早期の治療につなげられるかもしれない。

増えたウイルスによって私たちの免疫システムが暴走して体内の正常細胞を攻撃する「サイトカインストーム」と呼ばれる症状も突然の症状の悪化をもたらす。この状態が続くと、多臓器不全に陥って死が避けられなくなる。若い人ほど免疫力が強く、28歳だった勝武士さんの感染死はこれに相当する可能性がある。

「これまでの努力が水泡に帰すことになりかねない」

5月15日付の産経新聞の社説(主張)は「緊急事態39県解除 感染対策と経済の両立を」との見出しを付け、こう主張する。

「命を守る上で必要な感染症対策だったとはいえ、外出自粛や休校、店の休業などによる社会・経済への副作用は大きかった」

「副作用は大きかった」と書いて緊急事態の解除にもろ手を挙げて賛成なのかと思いきや、そうではない。

「ただし、気を緩めれば再び感染が拡大しかねないことを肝に銘じたい。人との距離をとるなど感染防止に効果的な行動をやめてウイルス禍以前の生活に戻ったり、自粛でたまったストレスを一気に発散しようとして密閉、密集、密接の『3密』状態を作り出したりすればこれまでの努力が水泡に帰すことになりかねない」

産経社説は「感染対策と社会経済活動の段階的再開の両立」を訴えたいのだろう。

中盤では医療体制の問題にも触れ、「各種の検査体制を拡充して市中感染を抑えることやワクチン、治療薬を準備することも極めて重要だ」とも主張しているが、物足りない。