コロナも怖いが、外で運動をしないリスクも恐ろしい

当然のことだが、運動不足になると、消費カロリーが低下する。摂取カロリーが変わらなければ、体内に脂肪分が蓄えられる。それだけでなく運動をしないことで、筋肉量もじわじわ低下する。筋肉は脂肪よりもエネルギー消費が高いため、筋肉量が減ることで、太りやすい体質になってしまう。

運動不足は免疫力にも大きく影響する。筋力が低下することで、疲れやすくなり、カラダを動かすことが億劫おっくうになっていく。運動時間の減少は、免疫力の低下につながる。となれば、明らかに新型コロナウイルスの感染を防ぐことが難しくなる。

宮城県の医師・星野智祥氏(専門分野:高齢者医療・緩和医療・感染症医療)は「新型コロナウイルスに備えるために 運動と免疫力の関係」と題した自身のブログで、「米国の研究者の報告では、定期的に適度な運動(45分の週5回の速歩)を行うと、運動を行わない場合に比べて気道感染の回数や有症状期間が半減することが示されている」と書いている。多くの感染症の予防においては、高齢者を含め、運動不足でも過度な運動でもない「中等度で適度な運動」が推奨されているというのだ。

運動をするとカルシウムが沈着しやすくなり、それが骨芽細胞の働きを促し、骨密度を高めることができる。だが、運動不足になると、この骨密度にも影響が出るおそれがある。

日光を浴びてビタミンDを生成しないとまずい理由

「屋内で運動すればいいではないか」という意見もあるが、外出しないことでの弊害もある。人間は日光に含まれる紫外線を浴びることでビタミンDを生成して、カルシウムの吸収を助けている。日光が不足するとカラダは自分自身の骨を溶かしてカルシウムを調達しようとするため、骨粗鬆症こつそしょうしょうのリスクも高まるのだ。

都立公園の掲示板に貼られたポスター

医師で大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座特任教授の梶本修身氏は、4月29日に放送されたテレビ番組内で「ビタミンDの8割は日に当たることによって体内で合成されるが、(外出)自粛の生活で紫外線不足になっている人は多い」と指摘している。

日照不足は精神面にも深刻な影響をもたらす。日光に当たらない生活をしていると、「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンが不足する。その状態が続くと精神のバランスが崩れ、暴力的になったり、ひどい時には不眠症やうつ病を引き起こしたりする。これらは大人も同様だ。

子供たちは外で遊ばなくなることで、体力が低下して、ストレスが増大するのは確実だ。そのことで体調を崩す子どもが増える、と筆者は予想する。免疫力が弱まった子どもが多いと、再開した学校が「クラスター」となる恐れがある。これは大きな問題ではないだろうか。