Q:子供たちが外遊びをする自由はあるか?
A:Yes. 大人も含めて、1日1回の「外での運動など」が許されている。
ただし、「1回」の制限時間は具体的に決まっていないため、「小さな子供が疲れて嫌になるまで」くらいの公園での外遊びなら問題なし。夫婦連れでの犬の散歩も自由に行ける。同居者でない人同士が外出先で一緒に活動するのは不可だが、家族であれば一緒に外出しても構わない。従って、家族で自転車で「うちの近所」をグルグル走るのが流行っている。
また、ジムやフィットネスクラブが閉鎖されているため、公園でかなりハードなトレーニングをしている人を見かけるが、これも規制の対象にはならないようだ。ただし一人で運動することが求められている。
人とすれ違う時は合図しながら距離を保っている
Q:ソーシャルディスタンスは基本的に守られているか?
A:Yes. スーパーの売り場の通路など、狭いところで人がすれ違う時はお互いに合図しながらスペースを譲り合っている。
バス車内で「混み合ってきてどうも他の乗客との距離が近い」と思う時は、違う席へと移動したりする。人の目など構ってはいられない。
問題は、朝晩の地下鉄で、時間帯と路線によってまだ混み合う区間があること。ただ、統計から見る限り、状況は3月下旬の「制限開始当初」と比べ大幅に改善されているようだ。
Q:マスク着用の普及は進んでいるか?
A:Yes. もともと、イギリスを含む欧州でのマスク着用の習慣はほぼゼロだった。
一部の欧州の国では、交通機関でのマスク着用の義務化が進んでいるが、イギリスでは未着手だ。ロンドンのサディク・カーン市長は、公共交通の車内や駅などで着用を義務化するよう訴えているが、今のところ国としての対応は進んでいない。在英の中華系医師が「公共の場でのマスク着用を義務化すべきだ」と政府の請願サイトで呼びかけている。しかし、今のところ意外と賛同者が少ないのが不思議だ。
国民の危機意識を強くした政府からのメッセージ
では、こうしたイギリスの状況は果たして「ロックダウン」と言えるものなのだろうか?
そもそも「ロックダウン」という言葉の定義が定まらぬ中、各国のメディアが使い続けているとも考えられるが、少なくともイギリスの現状では、国民の「コロナ疲れ」を想定したルールで運用されていると言ってよいだろう。
例えば、子供たちが外遊びをする自由は認められているので、過度な行動でなければ親たちが公園などに連れて出ることができる。また、食料品を売る小売店が営業しているので、こちらも異常な頻度でもない限り、ショッピングに出かけたところで問題はない。つまり、家の中でずっと閉じ込めておこうという制度設計にはなっていない。