材料・道具の専門店は注文殺到の「異常事態」

パンやお菓子作りの材料・道具を取り扱うcottaによれば、今年は製菓材料の売り上げが例年4月と比べて3倍もの売れ行きを記録しており、同サイト内でも注文が殺到していることで配送の遅れが生じていると告知されています。他のお菓子専門店でも注文殺到により、配送遅延が生じている旨の告知がなされている「異常事態」です。

商品配達の遅れには、食材需要の急騰だけでなく、昨今の巣ごもり消費に端を発する宅配便の増加や、配達員の感染による物流停止なども影響していると見られます。

cottaサイトでは注文殺到で配送遅延との告知がされている(4/27時点)。

ツイッターやインスタグラムでは、おのおのの手作りパンの作品の品評会が催されており、ユーチューブでは手作りパンレシピ動画が人気を博しています。また、手作りパンにとどまらず、同様の動きが餃子やパスタ、ピザなど「手作りブーム」が起きているとみられます。

忙しい現代人がコロナショックで足を止め、わざわざ自宅でパンをはじめとした小麦生活をスタートさせているのです。

世界規模で同時多発的に起きる手作りパンブーム

手作りパンのブームは、コロナウイルス対策に奔走する米国においても同様です。CNNの記事によるとパン作りに必要な材料の需要が「手に負えないレベル」に急上昇していると言います。

アメリカのレッドスターイースト社をはじめ、フランス、イタリア、カナダ、スイスのベーキング用品の販売業者も「イーストが棚からすぐに消えるなんて誰も予測できなかった」と口をそろえています。まさにグローバル規模でこの手作りパンブームは起きていることが分かります。

そしてなぜ、このようなブームが沸き起こっているのか? 同記事では「コロナ禍でパンを焼くことは、ストレスを軽減し、癒やしを与えてくれる」と示唆しています。

パン生地をこねる工程は気のめいるようなエンドレスに続く「消毒、アルコールの拭き取り、漂白スプレー」という一連のルーティンに対抗する手段になりえるというのです。また、パンを手作りすることは微生物との親交を深め、同時に眠っていた酵母を目覚めさせ、小麦粉に栄養を与える「命を吹き込む」行為と言えるでしょう。