直感、熟考、直感、熟考の繰り返しでOK

5年後、研究者の同僚が、教会で賛美歌集からしおりが落ちるのを見たとき、「あの接着剤を使えば、落ちないしおりがつくれるかもしれない」とふたたび直感が働きました。

そこからポスト・イットが製品化されるまで3年。直感、熟考、直感、熟考のくり返しで、世界的なヒット商品が生まれたのです。

接着剤としての失敗作を直感的に「なにかに使えるかも」ととらえた研究者も、賛美歌集からしおりが落ちるのを見て使いみちを思いついた同僚も、直感が働く前段階で、思考を寝かせて、じっくり発酵させていたのです。取るに足らないアイデアが、やがて素晴らしい形になるまで。

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人間の脳は「ファスト&スロー」でできている

心理学者のカーネマンは、この「直感」と「熟考」のしくみを「ファスト&スロー」と名づけて説明しています。

カーネマンによると、人間の脳は直感的な「速い(ファスト)思考(システム1)」と論理的な「遅い(スロー)思考(システム2)」の両輪で成り立っているといいます。

直感に頼りすぎると、ロジックがおろそかになり、「自信過剰」におちいります。逆にロジックばかりに意識を向けていると、結局行動を起こすことができず、タイミングを逸することになってしまいます。