公安調査庁の人間が証言した

では誰が高井議員の情報をリークしたのか――。3つ以上の週刊誌に一気に売り込みをしようと、普通の女性が考えるとは思えない。インテリジェンスの世界に生きる一部の者たちの間には、「内閣案件」なる言葉が存在する。無論、文字通りの意味だ。内閣府から下りてくる案件というものは確実にある。従業員の言葉を聞いて胸騒ぎがした。陰謀論というものは大抵の場合が空論であるが、私はある人物に本件について問うた。ネタ元(記者の情報源になる人物のこと)のひとりである公安調査庁の人間だ。

「内閣府がメディアに情報を流すことはよくあります。今回もそのケースで間違いない」

彼はそう答えた。週刊文春と週刊新潮の両誌で報じさせることで、より大きなニュースにするという狙いだろう。さらに彼は、内閣情報調査室の人間に「高井の件は内閣案件か」とそれとなく聞いてくれた。「今回は、違う。女性側からのリークだ」と否定したそうだ。当然、認めるわけはないものの、「今回は」が意味することは誰でもわかるだろう。

内閣案件というものに関して、私はこう考えている。上からの指示があったというより、むしろ、関係者が上の人間に対して自ら忖度をしたり、私憤で動いたりするものだ。普段は陰で政権の女房役に徹しているのだが、インテリジェンスの世界になると、プレイヤーとしてつい、しゃしゃり出てしまうのだ。

高井議員はすぐに離党届を出したが、立憲民主党はそれを受理せず、除名処分とした。しかし、高井議員はそれ以上に、今回の電光石火の舞台裏に狐につままれたような気持ちでいることだろう。

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