政府はどういうメッセージを出すべきだったか

ところが、ここでまた、麻生太郎財務大臣がやらかしてしまった。「手を挙げた者にお金を配布する」「富裕層は控えるんじゃないか」という趣旨のメッセージを出してしまった。言いたいことはわかるが、このご時世で年間5000万円以上のキャッシュが保障される国会議員の代表格である麻生さんは、国民感情を的確に把握できていない。

手を挙げた者にお金を配布するということは「生活困窮者は名乗り出よ、恵んでやる」というように聞こえるものだ。それはひがみ根性でもなんでもなく、素直な国民感情だろう。

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本来は「この給付金は生活困窮者のためのものです。ただスピード重視で、申請書は国民一律に配布しました。しかし、もともとの趣旨を踏まえ、生活に困らない方々は、大変申し訳ありませんが、申請しないでください。特に給料やボーナスが今のところまったく減らない、議員、公務員は絶対に申請しないでください。議員、公務員は10万円の受け取りを禁止します。議員、公務員が申請してお金を受け取れば詐欺にあたり、懲戒処分に付される場合もあります」と謙虚かつ明確に政治がルールを決めるべきだった。

僕がそのことをツイッターで発信したら、まあ批判の嵐だったね。

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現場の公務員には特別手当を弾めばいい。給付金とは別の話だ

公務員も一生懸命に働いているんだから、公務員叩きをするな! という批判も多かったが、給料やボーナスが完全に保障される公務員だからこそ、こういう危機事態のときに頑張ってもらわなければならない。そのための給料・ボーナスの完全保障だ。さらに上乗せをくれというのはおかしいだろう。

もちろん公務員の中には、医療現場や窓口現場、ごみ収集現場で感染のリスクを承知で働いている人もたくさんいる。ただ民間でも、窓口現場などはたくさんあるし、それこそ生活必需品売り場のスーパーや物流業においては、不特定多数の者と接触するのであり、民間人もリスクを負って頑張っている。

この場合、民間と比較してみても、やはり特にリスクが高いと思われる現場で働く公務員に対しては、特別手当をドーンと出せばいいだけの話だ。

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国民を分断するな! 支えられる者を生み出すな! という美辞麗句を叫ぶよりも、今、困っている人たちにできる限り多くのお金が行きわたるように工夫することが、現実の政治にとって重要なことである。

もし困っている人や支えられる人が特定されて公になってしまうのであれば、確かに支えられる人たちは躊躇するかもしれない。だから手を挙げた人にお金を給付するという麻生さんの発言は、完全にアウトなのだ。

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