1980年代後半に発生したバブル経済の影響もあって、日本株はずっと過大評価されてきたが、完全に解消されるまでには相当の年月がかかった。日経平均株価が1万円台を割り込み、バブル以前の水準まで下落してようやく現在の割安状態となっている。03年以降は景気の回復に伴い、日本企業のバランスシートも急激に改善した経緯がある。

経済状況が悪いとはいえ、90年代と比べて日本企業のファンダメンタルズは劇的に良くなっている。そして経営者の経営に対する考え方や姿勢も、全くといっていいほど変わった。にもかかわらず、日経平均は1万円以下にとどまっている。過去の最悪期と比べても日本株の相対的な魅力が増しているのは事実だ。

為替相場の動きも、海外から日本株買いを誘う一因となっている。円高は進んでいるが、物価などを踏まえた実質的な価値から判断すると、このレベルの円高では不十分だ。海外との金利差も急速に縮小しているため、さらなる円高の可能性は否定できない。円高はドルだけでなく、ユーロ、ポンド、豪ドルに対しても進んでいる。特に豪ドルはかなり割安で、豪州では住宅価格も値崩れしており、ゴールドコーストの不動産を日本人が買い漁った約20年前の再来もありうる。

株は、内需関連株や防衛関連株に注目している。投資の対象を選ぶ際には、政策の動向を特に注目すべきだ。前に述べたように日本は政策の転換を迫られているため、財政支出をさらに拡大して景気対策を連発する可能性があるからだ。

ここ5年間ほどは、幸運なことに世界の政治リスクは今ほど深刻に考えなくてもよかった。しかしアジア、東欧、南米、中近東、ロシアなど世界各国の状況は不安定なままだ。もはやアメリカ一極集中の時代は終わりを告げ、世界は無極化の時代に突入し、このような状況から分析すると、日本は将来的に自国の防衛費を増やさざるをえないだろう。

環境関連銘柄も重要だ。環境問題は世界共通の中長期的テーマで、電池や原発、太陽光発電などの分野で日本企業が強みを発揮できるからだ。

今は歴史的な転換期なのだ。世の中は流動的で、自分自身で下した判断も絶えず修正していかなければならない。だから現時点で最も有効なのは、自己投資だ。

今は英語力を高める絶好のチャンスだ。例えばインターネット上に、昨年ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン氏をはじめとする著名人がブログを公開している。ブログで展開される議論を理解できるような英語力になれば、日本にいながらにして確度の高い情報を得られる。とはいえ、予測なしでは行動できない。世界中の情報を見て、自分なりの判断を導くことが肝心であろう。

(大西洋平=構成 大杉和広=撮影)