今回の世界的な景気後退で、ほとんどの企業は減益を避けられそうにない。企業から個人向けのビジネス(BtoC)はもちろん、企業から企業向けのビジネス(BtoB)も苦戦を強いられる。安泰なのは企業から政府向けの(BtoG)ビジネスぐらいだろう。

米欧と比べれば日本の金融セクターは危機的な状況とは言い難いが、アジア全体は金融、製造業ともに構造的な不況に見舞われている。日本ではこの10年間、外需と円安に依存する経済政策を進め、輸出企業が景気を牽引してきたが、米国における消費者頼みの成長メカニズムは事実上崩壊したといえる。

例えば、中国では金融危機後、おもちゃ産業だけで200万人もの失業者が発生している。全世界的なデフレ状況から脱却するには、まずアジア全体が内需成長の道を拓き、“世界の工場”から“世界の市場”へと生まれ変わる必要がある。

ここで日本や中国が果たすべき責任は重い。外需頼みの発想を捨て、消費を拡大させ、「過剰貯蓄」を促してきた日本の過去の経済政策から転換を図るべきだ。

このようなマクロの状況から、我々はどのような投資行動を取るべきか。

振り返れば、昨年の“金融戦争”で勝利したのは、何もしなかった人だ。資産の大半を預貯金に託している日本のごく一般的な家庭が、最良の結果を手にした。

昨年、米国でベストパフォーマンス賞を受賞した投資信託の運用成績はマイナス25%だったが、この1年間の状況は滅多に起こりえないことだといっていい。あらゆる市場が値崩れし、現金を保有する者だけが勝つ状況が永久に続くはずがない。

「内需」「防衛」「環境」関連銘柄に注目

株式市場にも注目すべきだ。日本をはじめとするアジアの株式市場は非常に割安感がある。日経平均株価は25年前の水準に近い。本来、株式の配当利回りはインフレ率に近い水準であるはずだが、現状はそれより2%以上も高い。

では、なぜ日本株が割安なのか。日本人が自国の株を積極的に買ってこなかったことも一因だが、これまで日本株を購入していたのは外国人投資家だった。今回の金融危機で資金に困った彼らが資金を引き揚げたことで、日本株が下落したのだ。