「東日本大震災に匹敵する災害」でも当面は堅調

新型コロナウイルスにまつわる混乱を、各チェーンでは「東日本大震災と同じ大災害」ととらえる向きがある。震災が発生した2011年3月以降は、道路が寸断され物流が滞る中、いかに商品を調達し輸送するかの試行錯誤がなされた。今回は目に見える災害ではないものの、いつ終わるとも分からない警戒に人々は疲弊している。そうした中、ローソンは社会的責任の一翼を担うため「学童保育施設へのおにぎり無償配布」を始めた。全国の小中高校が休校となり、学童保育に集まる子供たち昼食をサポートし、保護者の負担を軽減する狙いがあり、3月末までに47都道府県、延べ5199施設、38万6288個のおにぎりを配布する。申し込み先着順での受付だが、応募が殺到しているという。セブン-イレブンなど他のチェーンでも今後、追随する可能性がある。

コロナウイルスの被害が長期化すれば、遠出をせず「ご近所消費」ができるコンビニエンスストアの売上高は当面、堅調に推移していくとみられている。だが現在の売れ筋は決して単価は高くなく、利幅もそう大きくない商品ばかりで、中長期的には不安材料の方が大きい。

コンビニ業界はターニングポイントに来ていた。人口減少で国内消費が頭打ちの中で、24時間営業は「働き方改革」の風潮の中で逆風となり、本部とフランチャイズ店舗の関係は根本から見なおす時期に来ている。個別に見れば、海外に活路を見いだそうとしたセブン&アイ・ホールディングスは、米国のガソリンスタンド併設型コンビニチェーンの買収を検討したものの、220億ドル(約2兆4500億円)に膨らんだ買収提示額から、乗り出した場合の本体の財務状況悪化を懸念して断念。ファミリーマートは旧am/pm、サークルKサンクスなど合併を繰り返して、店舗数ではセブン-イレブンに次ぐ業界2位の店舗数に浮上したが、本部機能に余剰人員が生じ、全従業員8000人中、約1000人の早期退職を決めた。「社会インフラ」としての存在感が改めて見直されつつある中で今後どのようなサービスを模索していくのか正念場を迎えている。

関連記事
新型コロナウイルスで「やってはいけない」5つのNG行動
「マスクの高値転売禁止」で転売ヤーが次に狙っている商品
なぜ、年金受給者はラブホテルに通うのか。「濡れなくても、謳歌できる」その訳。
セブンが勝てない「最強コンビニ」の秘密