風邪もインフルエンザも、新型肺炎も、何より「ウイルスに感染しない」ことが大切。そのためにどうすればよいか。ここが重要なのだが、ほとんどのウイルスは「空気感染」をしない。咳やくしゃみによってウイルスが飛び散る「飛沫感染」や、ウイルスの付いたドアノブなどを触ることによる「接触感染」が主流だ。よって、この2つを遮断することが対策の要になる。

アルコール消毒15秒で菌が1000分の1に

手に付いたウイルスを落とすには「手洗い」が重要。電車のつり革やドアノブなどに付いたウイルスがどのくらい生存しているか、ご存じだろうか。

東京医科歯科大学医学部附属病院の貫井陽子医師によると、「インフルエンザウイルスは最長で2日間」という。

「たとえばインフルエンザウイルスに感染した人がドアノブを触れば、丸2日間もそこに生きたウイルスが付いている。誰かが触って、周りの物に触れれば、どんどん広がっていく。だからこそこまめな手洗いを」

だが「石鹸+流水」では30秒手を洗っても、手指に付く細菌量が「100分の1」になる程度。大抵の人は30秒も手を洗っていられないだろう。効率がいいのはアルコール性手指消毒薬だ。

「手をアルコールで15秒間、消毒すると“1000分の1”まで菌が減ります。15秒なら歩きながら手をこすっていれば時間が経ちますよね。ただしウイルスの性質が異なるので、嘔吐や下痢の症状がある人に触れたときには石鹸+流水が必要です」(貫井医師)

アルコール製剤はどんな市販品でもいい。丁寧に拭くならウエットティッシュでもOKという。

続いてうがい。うがいはしないよりも、したほうが確実に感染症対策になる。ヨード液と水うがいで比較するなら、水で十分だ。また緑茶を用いたうがいについては、インフルエンザの予防効果に対する報告がある。静岡県立大学の山田浩教授が、65歳以上の老人ホーム入所者を対象にうがいに緑茶カテキンを使った群(市販のペットボトル緑茶の半分のカテキン濃度)と、水でうがいをした群を比較すると緑茶でうがいのほうがインフルエンザの発症率が明らかに低かった。カテキンの抗菌・抗ウイルス作用が働いたと考えられる。

大谷医師は「15分に1回程度、ごく少量の緑茶を飲む習慣がある」という。緑茶うがいはのどのウイルスを外に出すという方法だが、緑茶を飲んでしまえば、のどのウイルスが胃に入って胃液で死ぬ。のどを湿らせることで、のどから肺に至る気道の内壁を覆う「線毛」の働きもよくなり、細菌やウイルスなどの異物を体外に排出しやすくなる。流行シーズンは緑茶でうがいか、緑茶を飲むと覚えたい。