なぜ4年ぶりの党首会談となったのか「2つの疑問」

安倍氏がこのタイミングで党首会談を呼びかけた大義名分は、新型コロナに対応するための特別措置法の早期成立へ向け協力を求めることにある。特措法が成立させることで、新型コロナ対応のために緊急事態宣言を出すことも念頭に置く。

ただ、それでなぜ4年ぶりの党首会談となったのか。疑問が2つある。

まず、新しい特措法をつくる必要があるのか、という問題だ。実は、政府が成立を目指している特措法の概要は、既に存在する新型インフルエンザ等特措法の内容とほぼ同じだ。だから枝野氏などは、現行法を新型コロナに適用できると訴えている。

これに対し安倍氏は、現行法は「新感染症」が対象となっており、「(新型コロナは)原因となる病原体が特定されているので現行法に適用するのは困難」と説明、あくまで新しい法律が必要だと語っている。

現行法の解釈変更は得意技なのに、なぜ今回は新法なのか

どちらが正しいかは置いておくとして、この論争が、極めて奇妙なものであることに気づいた人がいるかもしれない。

新しい事態が発生した時に「現行法を適用するか、新法を作るか」という議論が起きることは政治の世界では、しばしばある。しかし、ほぼ例外なく政府・与党が現行法を適用しようとし、野党側は現行法での適用は困難だという展開になる。政府・与党は一刻も早く政策を遂行しようとし、野党はそれを阻止するために、新しい法案を準備させて時間を稼ごうとするのだ。しかし今回は、その逆の展開になっている。

現行法や憲法の解釈を変更してまで、自らの思いを達成させようとしているという批判を受けることが多い安倍政権が、なぜ今回は新法に走るのか。