転売監視や政府備蓄マスクの放出も
日本で中国にマスクを寄付する動きが盛んになったタイミングで、台湾では逆の政策が早々に決定・施行されたことになる。これには「非人道的」「自分勝手」という非難の声も上がったが、台湾当局の判断が正しかったかどうかは、今後の状況が証明することになるだろう。
ただ、筆者は国が守るべき「安全」の主格は絶対に国民であり、「日本」では自国民である「日本国民」の安全を確保して、初めて人道があると信じている。台湾政府のこの決定は「英断」であったと考える。
台湾当局の決定をもう少し詳しく述べると、
2.マスクの高値転売などの公正取引監査の強化
3.政府備蓄マスクの放出 コンビニなどで1枚8元(28円)1人3枚までの提供
4.マスクの国内生産業者への増産依頼
5.マスクの政府買い取り保証
6.マスクの正しい使用方法の啓発
という内容になる。さらにその後、製造業者への残業代の政府補塡や、国軍兵士(予備役)による生産協力体制などで、マスクの増産体制をさらに支援している。国民には、「マスクは足りているから安心して」とアナウンス。当初1枚8元だったマスクを同5元(18円)に値下げもしている。
断固とした危機対応で国民の信頼を向上
台湾当局は国民健康保険のIDを使い、薬局でマスクを配給するシステムも立ち上げた。さらに中華郵政公司は、全国の薬局6500カ所のマスクの在庫をオンラインで把握し、過不足なく無料で配送する態勢を整備。蘇貞昌首相は2月11日、中華郵政公司の疫病対策物流センターを訪れ、上記の協力に謝辞を述べている。
政府が国民の安全を第一に考え、迅速に行動。危機対応で政府への信頼をさらに向上させつつ、国民が一丸となって疫病対策にあたる——そんな台湾の動きには、日本が学ぶべき点が大いにあるのではないだろうか。