企業内でイノベーションを起こすための方法
続いてご紹介したいのが、第13位『ひとりの妄想で未来は変わる』。本書における「妄想」とは、「こんなことができたらいいな」とか、「こんな世の中になったらいいな」という思いを指します。一個人だとなかなか「妄想」を現実にするのは難しいですし、新しく仲間を集めて起業をするのもハードルが高いです。
本書が提案するのは、独立してイノベーションを目指す「アントレプレナー」ではなく、企業内でイノベーションを起こす「イントレプレナー」になること。著者・佐宗邦威氏は、外資系企業と国内企業の両方を知っている立場から、その具体的なやり方を提示します。かなり泥臭い話も含まれており、極めて実践的な内容です。
企業内で新規事業を立ち上げることになったら、ぜひ本書を手にとり、繰り返し読んでみてください。「モヤモヤ」を抱えるビジネスパーソンの、道しるべとなってくれるはずです。
1日100食、お昼のみの営業を貫く飲食店
最後にご注目いただきたいのが、第18位の『売り上げを、減らそう。』です。先日の「読者が選ぶビジネス書グランプリ2020」ではイノベーション部門を受賞し、総合でも第2位に選ばれています。
本書の著者・中村朱美氏は、「国産牛ステーキ丼専門店 佰食屋」の経営者。「売上が全てを癒す」という従来の考え方の真逆をついたタイトルにまず驚かされますが、決して売上を「捨てた」わけではありません。1日100食限定でお昼のみの営業、売り切れ次第終了というシステムを採用しているのは、あくまで「社員の働きやすさ」と「会社の利益」の両方を実現するためなのです。
働き方改革が叫ばれて久しい今、労働力人口の減少の進展とともに、業績至上主義は限界を迎えつつあります。本書はこれからの「豊かさ」について真剣に問い直し、新たな働き方や経営のあり方を提示します。経営者はもちろんのこと、よりよい働き方を目指す全て人におすすめの本です。
先月から引き続きランキングに入ったのは、『SELFISH(セルフィッシュ)』(第4位→第9位)、『Think Smart』(第16位→第2位)の2冊でした。どちらも普遍的なテーマを扱っており、多くの方の興味を引きつけたと考えられます。来月はどのような本が上位に入るのか、引き続き注目してまいります。