または夏の軽井沢。私の行っていた私立女子校では、クラスの半分ぐらいが夏は軽井沢の別荘に大移動していたほどだから。
本当のお金持ちと縁を作りたい人は、今流行っている「セレブの社交クラブ」などに行くよりいいところがある。セレブ婚活に最適なのは茶道だ。お金持ちは奥さんが茶道をやっていることが多いし、裏千家の京都の初釜は経済界の社交場でもある。
今私が通っている裏千家のお稽古場は、元骨董商の先生のお稽古場のせいか男性のお弟子さんのほうが多い。茶道を習う男性は「茶道具」のマニアだ。先生からは、この不況の中「10年がかりで木材を吟味してお茶室を作った」という景気のよい茶人の話を聞く。茶室建築を依頼するのは日本文化に造詣の深い本当のお金持ちたち。
「もともと茶道は男のもの。益田鈍翁(ますだどんのう)など明治の財界人たちが競ってお茶に凝ったのは男同士のライバル意識から。仕事だけやっても後世に名前が残らないので、文化を担うことで名前を残したかったんです」
いまだに松下政経塾でもちゃんと茶道を教えているほど政財界人とは縁が深い。茶道もまたお金持ち同士の縁を結んでいるのだ。
彼らを見ていると、本当のお金持ちの強みとは、お金では買えないものを持っていることだと思う。それは「縁」である。いくらIPOで突然お金ができても、長い時間をかけて培われた特殊なネットワークは絶対に買えない。プライベートからビジネスまで、あらゆるところに通じるコネクション……真のお金持ちとは「縁持ち」のことを言うのだ。
※プレジデント社の新刊『セレブ妻になれる人、なれない人』より抜粋。