1月18日1000円→2月4日1万4000円

ネット転売の詳しい情報を持っている人はいないのか――。いろいろ調べていくと、オークファンが提供している「オークファンプロplus」という解析ツールにたどり着いた。ヤフオクの落札相場や落札数の動向を知ることができるという。本当にそんなことができるのか心配になったが、オークファンはネットの商品売買リサーチツールで10年以上の実績があり、2013年にはマザーズに上場している。データの正確さは信頼できそうである。

「マスクはここ1カ月間、異常な価格で取引されていますね」

取材に応じてくれたのはメディア事業部の杉本聡部長。ヘルスケアのカテゴリーに属するマスクの落札相場と落札件数のデータを見せてくれた。

1月18日のマスクの落札価格は1000円程度で、落札件数も20件前後。20日に2500円の値をつけ、23日には3000円を突破。その後、4000円、5000円と価格は跳ね上がり、31日にはついに1万円を超える。落札件数も2400件近くなり、10日間で120倍もの人がマスクを買い求めるようになった。

「その後、2月4日には1万4000円を超えて、落札相場は1万5000円ぐらいで9日まで推移していきます。落札件数も5000件前後で取引され続けました」

「ヤフオク」でのピークは2月9日だった

しかし、2月11日には落札価格は1万5000円台をキープし続けるも、落札件数は一気に3500件まで落ち込んでしまう。

「2月9日がピークのようですね。マスク不足が解消されることが政府からも発表されましたから、高額転売はこれから収まっていくと思います」

画像提供=オークファン
オークファンプロplusに表示された、ヤフオクでのマスク取引の推移

淡々と話す杉本部長。まるで株のチャートでも見ているかのように、冷静に状況を分析している。このような高額転売は業界ではよくあることなのか。

「今回のマスクは確かにイレギュラーです。ただ、このようなことが過去になかったわけではありません。例えば、2011年に品薄になった桃屋の『食べるラー油』も、スーパーの在庫がなくなってネットで高額取引されました。最近で言えば台風で養生テープが不足して、ネットで高値を付けました。メディアで話題になった商品が品薄になって、それを高額取引するという現象は昔からあることです」

では、そのような取引をする人は、一体どんな人なのか。オークファンプロplusでは落札者の個人情報までは分からない。だが「あくまで個人的な予想」と前置きした上で、杉本部長が今回のマスクの高額転売を行った“人物像”について話してくれた。