「ドクターショッピング」は患者が損するだけ

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図2:「3分間診療」を充実させるためにデータを準備しよう

医者は、自分の健康について一生懸命考え、診察に協力的な患者に対して、助けたいという気持ちを強く持つものだ。「予習と復習」を勧めるのは、池上氏である。まず診察前の「予習」として、自分が伝えたい症状についてできるだけ具体的に「いつから」「どこが」「どのような状態か」をメモする(図1)。

医者への情報提供がスムーズに進むうえ、自分の不安や疑問点も整理できて聞き忘れも防げる。医者の側も、「この患者は情報提供が円滑で診察に協力的だし、治療に一生懸命取り組んでいるな」という印象を受けるだろう。

診察中は医者の話を簡単でもよいのでメモしておき、帰宅後は復習する。理解できなかったことや疑問が出てきたら、次回質問するために書き留めておこう。

予習、復習をする患者には「医者もいい緊張感を持って接するようになる」(富家氏)、「自分も頑張らなくてはと思う」(池上氏)そうだ。

かかっている医者に内緒で、複数の医者にかかったり、前の病院の紹介状なしに病院を転々とする「ドクターショッピング」。これは「セカンドオピニオンを求めることとは異なります」と池上氏は説明する。

主治医から受けた診断について、ほかの医者からも意見を求める「セカンドオピニオン」の場合は、主治医に事前に相談し、これまでの検査結果などの情報を持って別の医者に相談に行く。

一方、ドクターショッピングをする人は、これまでの診察の情報を何も持たずに新しい病院に行く。そのため、また最初から問診をし同じ検査をやり直すことになる。無駄が多いうえ、医者との信頼関係を築きにくいこともある。「医者の側も、『医者に対して少し不信感を持っているのかな』と受け取る場合があり、あまりいい印象を持たれないかもしれません」と池上氏は言う。患者にとっていいことはあまりなさそうだ(図2)。