無名選手が大学で急成長して一躍全国区に躍り出た

▼ネタ10 調理師専門学校への進学を迷っていた選手が急成長

この明大の阿部以上に東洋大の相澤を強く意識しているのが、同区間で激突する可能性が高い東京国際大・伊藤達彦だ。高校時代(静岡・浜松商)は全国大会の出場はなく、就職するか、調理師専門学校に進学するか迷っていたという。そこに東京国際大・大志田秀次監督から熱心な誘いを受けて、人生が劇的に変わっていく。

創部9年の東京国際大は近年、駅伝新興校として実績をあげている。伊藤はそのチームのエースになると、今夏のユニバーシアードではハーフマラソンで銅メダル。学生トップクラスの選手に成長した。箱根駅伝予選会は相澤と競り合う場面をイメージして、日本人トップ(個人5位)。4人のケニア人留学生ランナーに先着すると、8日後の全日本大学駅伝は2区で衝撃の13人抜きを披露する。区間記録を51秒塗り替えて、初出場の東京国際大をトップに押し上げたのだ。

伊藤は3年連続となる2区が有力で、「区間賞」を目標に掲げている。チームには強力なケニア人留学生もいるため、東京国際大が往路の前半でトップを快走するシーンが見られるかもしれない。

▼ネタ11 家族ドラマ、兄の雪辱を果たすために弟は走る
写真=iStock.com/Pavel1964
※写真はイメージです

箱根駅伝に出場すると、家族も大騒ぎとなる。そのなかで兄の影響を大きく受けているのが、東洋大・定方(さだかた)駿(しゅん)だ。6学年上の兄・俊樹(現・MHPS)に憧れて競技を始めて、兄の背中を追いかけるように東洋大に進学した。4年目でレギュラーの座をつかむと、出雲駅伝と全日本大学駅伝はエース区間で活躍した。今回も主要区間での起用が有力だ。

兄・俊樹は2013年大会に5区で出場。トップで走りだすも、区間10位と苦しみ、3位に転落した。兄の雪辱を果たすためにも、ラストチャンスとなる箱根駅伝で快走を誓っている。

往路・復路合わせて217.1kmの箱根駅伝にはさまざまなドラマが詰まっている。以上に掲げた9つの「ストーリー」を知った上で見れば、より深くレースを堪能できるに違いない。

関連記事
ナイキが「マラソン厚底規制」に高笑いする理由
厚底ナイキが次に仕掛ける「ビーズ靴」が向く人
「神社で柏手を打ってはいけない」納得の理由
ついにランナー市場に攻め入るUAの戦略
経営者が慶應幼稚舎に子供を入れたがる訳