ふるさと納税をすると住民税が「控除」される

私の記事では、国税(所得税)の還付申告の受付業務で「還付金額が0円になる申告書は受付しなくてもよい」と思ったアルバイトと、「還付金が0円なら確定申告書を出しても無駄なのだ」と諦めてしまうAさんというシーンを想定した。

ごたごたした会場では、想定外のことが起こる可能性がある。ただ、読者のみなさんの反応をみると、この設定に多少の無理を感じられたのだと思う。

数年前に住宅ローン控除の申告をしたAさんが、源泉徴収票の源泉徴収税額の欄の数字が0円となっていても、課税所得金額があり寄付金控除をすることで所得控除の合計額が増え、翌年に住民税として納めるべき税額が少なくなる。このことを理解していれば、所得税の還付金額が0円でも申告書を提出してから申告会場を後にしていただろうということになる。

また、読者の方からは、住民税についてあまり言及されていないという点もご指摘いただいたようだ。みなさんご承知のことだと思うのだが、確認のためあらためて解説したい。

「ふるさと納税」は、住民税については「ふるさと納税」として寄付した金額が別個に手元に戻ってくるとか、還付されるというものではない。寄付金控除として、控除されるというものだ。

所得税と住民税で扱いが違う理由

ふるさと納税をすると所得税は「還付」され、住民税は「控除」される。では、「還付」と「控除」とは、どう違うのだろうか。

給与所得者の方の場合、所得税は毎月の給料から天引きされている。勤め先で年末調整をして源泉徴収票に記載された金額が、その方の一年間に納めた所得税の金額となる。

給与所得者の方の場合は、2019年分に納めた所得税は、2019年が終わった時点で確定しており、天引きによって支払いも済んでいるということだ。

「ふるさと納税」の所得税分については、いったん納税額が確定しているが、確定申告書を提出することで、税金の払い戻しをするので還付ということになる。

一方、住民税はどうか。

住民税は、2019年分として確定した課税所得金額を元に各自治体が計算し決定される。

2019年12月の現時点では、2019年分の住民税はまだ確定していないのだ。