制度は充実しているのに、なぜ育休取得率が低いのか
一方、UNICEFの報告書でも指摘されているのが、日本の男性の育児休暇取得率の低さです。
厚生労働省の雇用均等基本調査によると、2018年度の男性の育休取得率は6.16%。これでも過去最高の取得率なのですが、OECD「ファミリーデータベース」の11カ国ランキングでは、最下位のオーストラリアでも20%以上。トップのフィンランドでは80%を超えています。
仕事に専念していないと見られることが心配
制度は充実しているのに、なぜ取得率が低いのか。アンケートなどで調査すると、「同僚や上司の目が気になるから」「昇進などキャリアに悪い影響が出そうだから」といったことが主要な理由になっているようです。
では、育休取得率が高い他の国々の父親たちは、こうした不安とは無縁だったのかといえば、実は彼らもかつて、同じような不安を抱えていました。北欧のノルウェーを例に、男性の育児休業取得率がどのようなプロセスを経て向上していったのかを見てみましょう。
ノルウェーでは1977年から有給の育休制度が法律で認められていましたが、夫婦合算で期間が定められていたため、育休を取得するのはもっぱら母親ばかりでした。父親の育休取得率はせいぜい3%。93年に父親だけが取れる4週間の育休枠(給与と同額の給付金あり)が設定されると、取得率は35%まで上昇しましたが、ノルウェー政府はこの数字に満足しませんでした。
そして95年の政府白書を読むと、「会社や同僚から仕事に専念していないと見られることを心配している」ことが、育休取得率の伸び悩みの主要な原因とされています。これは今の日本の父親たちが抱える事情と一致していないでしょうか。