担当のケアマネに対する費用が発生する可能性
要介護認定を受け、居宅での介護サービスを利用することになった高齢者などには原則としてケアマネがひとり担当者としてつくことになります。
彼らは、まず、要介護者の心身の状態や介護する家族の事情などを聞き、自立支援につながる介護サービスを盛り込んだケアプランを作成します。その上で、そのプランに沿って介護サービス事業者を本人や家族と話し合って選定し、介護保険サービスがスムーズに開始できるように支援します。
また、その後も定期的に担当する利用者宅を訪問し、心身の状態の変化に応じて、ケアプランを見直す。ケアマネは介護生活を支える重要な役割を担っているわけです。
訪問看護のヘルパーやデイサービスなどの介護サービスの利用をした場合、利用者が負担するのは原則的に費用の1割(※収入によって2割か3割)ですが、ケアマネに対する利用者負担は発生しません。ケアマネの報酬は全額、介護保険(国)から給付されています。
利用者の自己負担がないのは、介護保険適用のサービスは“誰もが公平に”受けられるもの、という考え方があるからです。
他の介護サービスと同様、原則1割の利用者負担
ケアマネ歴15年のIさんは、その意味合いをこう説明します。
「要介護認定を受け、これから介護生活が始まるという方にとって、ケアマネはその入口にいる案内役といえます。どんなサービスでも初めて利用する時は案内が必要です。たとえば大型のショッピングセンター。探している商品の売り場が分らなかったら、従業員に場所を聞きますよね。いうまでもなく、その案内に料金が発生することはありません。もし料金を要求されたとしたら“自分で探すよ”となるだろうし、誰もそんな店は利用したくなくなるでしょう。ケアマネジャーもそれと同じで、誰もがあまねく公平に自立支援のための介護サービスを受けられるよう利用者の負担なしでやってきたのです」
本来、利用者の負担で成り立つ性質の仕事ではないというわけです。にもかかわらずここへきて、他の介護サービスと同様、原則1割の利用者負担にしようという法改正の動きが出てきたのはなぜでしょうか。