「間違っているのは自分の方ではないか」という考えはダメ

テレビドラマ『半沢直樹』のように、彼らと真っ向から戦うのは創作の世界だけにとどめたほうがいい。分が悪すぎるからだ。現実的な方法を考えよう。そこで今日は、モンスター上司に現実的にどう対応するか、僕が20年強の会社員生活を通じて体得した心構えをご紹介したい。

モンスター上司への対応でもっともよろしくないのは、彼らを(ポジティブに)受け入れてしまうこと。

激しい叱責を受けていると、勢いに押されて、「間違っているのは自分の方ではないか」と疑心暗鬼となり、「モンスター上司の話を聞いてみよう」というスタンスになってしまう。

実際、そういう対応をしているケースは非常に多い。それがモンスター上司を、昭和と平成というふたつの時代で延命させてきたのだ。時代は令和。そろそろ新しい時代にふさわしい職場環境をつくっていこうではないか。

モンスター上司の存在に意味を見出してしまう人々

なぜ、ネガティブな要素しかないモンスター上司をポジティブに受け入れてしまうのか。

「あんなトンデモ人間が上司になったのは、神様が私に試練を与えているにちがいない。この試練の先にある光り輝く世界を見るために、苦行を乗り越えていこう」という上司受難説。

「道端の石にも価値があるように、ヤバい上司にも存在価値がある。そう。それは反面教師という意味、価値。私は彼を反面教師にして何かを得ていきたい。人生に活かしたい。人生に無駄なことはないのだ」という上司反面教師説。

モンスター上司をポジティブに受け入れる姿勢はこの二つの説に拠る。このようなスタンスからモンスター上司を受け入れ、結果的にメンタルをやられてしまうのだ。残念ながら、人を疑うことを知らない、善良なごくごく普通な人間がこういう事態に陥りやすい。

この絶望的状況から脱するのはどうすればいいか。実は超簡単。モンスター上司を拒否・拒絶するのだ。頼まれた仕事を断ったり、露骨に無視を決め込むような露骨な拒否・拒絶ではなく(それはいい結果をもたらさない)、うまく避けるようにするのだ。

モンスター上司が自分にとって無価値・無意味だと確認していく。

まずは「なんで上司がモンスターなんだよ……」という絶望的な諦めから「ヤバい人間がたまたま一時的に自分の目の前にいるにすぎない」と諦めを軽いものへシフトしていき、そこから一歩進んで「無価値・無意味な存在からは何も得るものはない」と確認するのだ。