このような観点から、例えば機能性重視の女性向けラブグッズも開発されており、セックスロボットの開発者は――性暴力に関連する諸問題が指摘されていますが――、セックスロボットはむしろ、「セクシャルヘルス」に貢献すると主張しています。

そんなセックスロボットの開発は、プレーのときに相手(オーナー)のニーズに的確に応えるという意味で優秀であることを目指しています。

しかし、オーナーに対するある調査研究は、aiboの例と同様に、オーナーが本当にロボットに求めているのは、性的快楽というより親近感や愛着などを感じる「パラソーシャル」な関係であることを発見しています。彼らがセックスロボットに本当に見出している価値は、「彼女」と一緒に旅行したり、部屋で映画を見るなどして同じ時間を過ごしているうちに形成される経験であり、思い出だったりするわけです。

セックスロボットに固有性

そのような思い出が増えるに従って、オーナーはセックスロボットに固有性(=交換不可能性)を見出し、性的関係はそのような「パートナーロボット」との、付帯的な、二次的なものでしかなくなるようです。

つまり、オーナーの主観によって、そのセックスロボットは単なる性的快楽を満たす道具にも、自らの孤独を埋め合わせる掛けがえのない存在にもなりうるわけです。

(構成=鈴木俊之 写真=AFLO)
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