トラブルやリスクから目を背けるな

ここまで満員電車のデメリットを書いても「時差通勤? 定時の廃止? 無理無理!」「『無理だという理由』は何か? やかましい! 無理なものは無理なんだよ!」と言いたくなる人もいるだろう。あるいは、もう慣れきってしまい、特に苦痛を感じなくなっている人もいるかもしれない。ただ「いかにして満員電車に乗らないか」ということを考えるのは、心身の健康を実現し、仕事や生活の質を向上させるだけでなく、日常生活に潜むさまざまなトラブルを回避することにもつながる。

人間が突発的なトラブルに巻き込まれるのは、多くの場合、周囲に大勢人がいるときである。他人が多ければ多いほど、理解不能な考えを持つ人間に出くわす可能性が高まる。理不尽な暴力に遭遇したり、痴漢冤罪に巻き込まれたりするリスクも上がるだろう。インフルエンザや風邪をうつされる確率も増加する。

なかには、現状をなんとか肯定するために、「長時間の満員電車でも本を読んだり、語学教材を聞いたりしているので有意義です」などと言う人もいるだろうが、果たしてそれは本心なのだろうか? さまざまなトラブルやリスクから目を背け、思考停止しているだけではないのか?

思考停止になってはいけない。

たとえば、警察官や消防官、役所や公共施設の職員、小売店や飲食店の店員など、市民の生活基盤を守る職種や、市民と相対する形でサービスを提供しなければならない職種を除けば、「所定の時間内は、無条件でそこにいなければならない」仕事など、ほとんど存在しないのではなかろうか。

朝は自宅である程度仕事をこなしつつ、電車が混まなくなる時間を見計らって出社する、といった勤務パターンを各企業が導入するだけでも、満員電車はかなり緩和されるだろう。

27年前に予備校講師から聞いた「満員電車は異常だ」という言葉。文字通りの意味だけでなく、背後に多くの戒めを含んだ警句として、いまでも強く、私の心に響いている。思考停止になってはいけない。

【まとめ】今回の「俺がもっとも言いたいこと」
・満員電車は異常な空間である。その異常性について、もっと多くの人が真剣に考えるべきではないか。解消するためにできることは、いろいろある。
・何事においても「そういうもの」と受け入れてしまうのがクセになっていないか。違和感や不快感をおぼえるのであれば、それを解消するためにできることを探すべきである。
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