長時間勉強しても成績が上がらない原因

勉強とは「頭を使うこと」です。そういう子が初めて私の授業を2時間受けると、ヘトヘトとなると同時に、理解できた楽しさ、頭を使った達成感でイキイキとした表情を見せます。このように勉強は、学習時間の長さではなく、どれだけ質の高い学習ができたかが大事なのです。

もし親御さんが勉強にある程度付き添えるのなら、子供が解いた問題について、なぜそう考えたのか言葉で説明させましょう。そうすることで、知識の定着を図ることができます。

中学受験では塾からたくさんの宿題が出されます。すると、親も子もそれを終わらせることだけが目的となってしまい、わかっている問題をダラダラとやったり、わからない問題を前に頭を抱えていたりするだけで、時間が過ぎてしまいます。8時間も勉強しているのに、成績が上がらない原因はここにあります。すべての課題を終わらせることよりも、あと少し頑張れば解けそうといった問題を中心に時間を充てて基礎力充実を図り、「問題が解けた!」と達成感を味わわせるほうが、よい結果へとつながっていきます。

「キレイなノートづくり」は現実逃避

勉強にノートは欠かせませんが、ノートの使い方にも注意が必要です。女の子はノートに「×」がつくのを嫌がります。「×」がずらりと並んでいると親や塾の先生に叱られるかもしれないというおびえもあるようですが、何より自分の気が滅入るのでしょう。そういう子は、自分で解いてみたけれど間違っていた、あるいはなんとなく解けそうだけど自分では手がかりがつかめない、というときにチラッと解答を見て、「そうそう、そう思っていたんだよね!」と自分を納得させて答えを写します。

最初は少し罪悪感がありますが、他にもやらなければいけない宿題があって、この教科だけに時間をかけているわけにはいかない。それをくり返していくうちに、「まぁいいよね」という気持ちになり、答えを写して「×」のないノートをつくるという勉強スタイルが定着してしまうのです。この傾向は女の子に多く見られます。

また、授業中にキレイなノートづくりに精を出す子もいますが、それは、実は授業からの逃避でもあります。分からない問題をずっと考え続けるのは、その科目が苦手な子からすると苦痛。でも、みんなが次の問題を解いている間に板書をせっせと写していれば、一緒に勉強をした気になれます。しかし、それでは勉強をしたことになりませんし、当然成績も上がりません。なぜなら、勉強は自分で手と頭を動かし、試行錯誤をして初めて力がつくものだからです。