3カ月で3回の選挙。創価学会も地方議員も疲労困憊
野党は今、立憲民主党と国民民主党らが会派合流で合意するなど野党結集の動きを見せているが、国民の支持は一向に上がらない。このあたりは8月23日公開の「『悪夢のような民主党』に戻る立憲民主の残念さ」を参照いただきたい。
埼玉県は立憲民主党の枝野幸男代表の地元だ。ただし、今回の知事選では、枝野氏が陣頭指揮を執ったとはとてもいえない。また、野党共闘の最終兵器と目されるれいわ新選組の山本太郎氏は、知事選に「参戦」した形跡も、ない。
それにもかかわらず自民党は敗れた。
首都圏で知事選を落としたのは痛いが、それだけならまだよかった。自民党にとって頭痛の種は同じ埼玉で次の選挙が控えていることだ。
知事選で勝った大野氏は現職の参院議員の職を辞して知事選に挑戦した。そこで生じた欠員の補充のため、補欠選挙が10月27日に行われる。埼玉で、もし自民党が連敗すれば大ピンチに陥ってしまう。
ちなみに埼玉では7月の参院選、8月の知事選、そして10月に参院補選と、3カ月に3回も大型の選挙を行うことになる。3回目となると、頼みの創価学会や、自民党系地方議員も疲れ果てており、集票も期待はできない。
「補選」では現職の応援を得づらい事情がある
しかも補選には独特の問題がある。10月に当選する議員は、2016年の参院選で当選した議員とともに22年に任期満了を迎え、再選を目指すことになる。16年当選の参院議員は自民党の関口昌一氏と公明党の西田実仁氏。2人が22年も出馬し、補選で自民党が勝った場合、自民党2人、公明党1人の与党現職が埼玉選挙区でしのぎを削ることになる。現職議員たちにとっては避けたいシナリオであることは言うまでもない。いきおい今回の補選では、自民、公明の現職は、自民党新人候補の応援に身が入らないだろう。
「10月27日」は政治的にどんな日程なのか。10月には消費税率が10%に上がる。臨時国会は10月4日にも召集される見通し。ということは、消費税率が上がり国民からの不満が高まり、臨時国会で会派合流した野党が自民党を追及している時、補選が行われることになる。「8月25日」の知事選と比べても、自民党にとって有利な要素はない。
野党側からは知事を勇退したばかりの上田清司氏の出馬も取り沙汰される。強敵だ。