「山本家の会話は煽り合いが基本」

本書の題材は、著者の実体験に基づいたものだ。山本さんは「実はコラム連載開始当時に、僕自身が3人の子育てと並行して、自分と妻の両親の4人を介護しなければならない状況になり、ライフスタイルや働き方の改革を迫られていました」と明かす。

山本一郎『ズレずに生き抜く』(文藝春秋)

「待機児童」や「介護離職」が社会問題となる中、「同じように悩む人の心の負担が、少しでも軽くなれば」と考えて執筆したそうだ。

また、山本さんのWEBコラムは歯に衣着せぬ物言いが売りだ。

「山本家の会話は煽り合いが基本で、父親が『生きるのが大変』とか抜かしたら、『じゃ、死ねば』と返します。これは一種の愛情表現なのですが、社会に出るまで煽るのは当たり前だと思っていました。ネットでも、表現が直截的なほうが読まれます。

しかし、書籍化にあたって、丁寧に加筆をしました。もっと幅広い層に手に取って、人生についてじっくり考えてもらいたかったんです」

実際に、「励まされた」「上層部に読ませたい」といった反響が、30~40代を中心とした読者から、続々と寄せられているそうだ。

もちろん、批判的な意見も少なくないが、「いちいち手紙を書いて、言い返しています」というのが、読者との熱のあるやり取りを大事にする、山本さんらしいところだろう。

山本一郎
個人投資家、作家
1973年、東京都生まれ。96年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。文春オンラインでコラムを連載中。
(撮影=的野弘路)
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