(3)同じ弱い立場の他企業と協力する

あなたの交渉力を高めるためには、同じ立場の他の企業と連携することが最も効果的な場合もある。

一例として、労働組合の基盤をなす論理を考えてみよう。被雇用者が経営陣と交渉するとき、一人ひとりの被雇用者は弱い立場にいる。

それに対し労働組合は、被雇用者が団体で交渉し、それによって自分たちの弱さの原因を取り去ることを可能にする。1人の人物(もしくは1つのチーム)がすべての被雇用者の利益をまとめて代表するとき、会社は被雇用者同士を競争させることができなくなる。団体で交渉することによって、被雇用者は互いの競争を避けて協力するのである。その結果は、市場賃金を上回る賃金だ。このプロセスは市場の非効率性を生むが、力とカネを株主から被雇用者に効果的に移転する。驚くにはあたらないが、企業は概して社員の組合結成の動きを阻止しようとする。ウォルマートなど一部の企業は、昔から見事にそれに成功してきた。

弱い立場で交渉することになったら、最善の策は自分のBATNAを強くしようとすることだ。だが、これが不可能だとわかっても、あきらめてはいけない。本稿で紹介した3つの戦略が、自分の立場を強くするためにあなたが必要とする力を与えてくれるはずだ。

(翻訳=ディプロマット)