内閣支持率84%をたたき出した小泉首相の「控訴断念」

2001年5月、小泉純一郎首相(当時)はハンセン病患者への隔離政策を巡る国家賠償訴訟で控訴を断念した。朝日新聞によるとこの直後の同社の世論調査での内閣支持率は84%に及んだ。小泉内閣の支持率は安定的に高かったが、この時が過去最高値だった。小泉氏はその勢いをかって7月の参院選で、自民党を大勝に導いている。

安倍氏は官房副長官として小泉氏に仕えていた。18年前の小泉氏の成功を参考にして、安倍氏が同じ道を選んだと考えたほうが自然だ。政権幹部は「安倍氏はハンセン病の問題について思い入れが強い」と語っているという。問題そのものに思い入れがあるというより、対応しだいで政権の行方を左右する問題であることを知っているという意味だと解釈したほうがよさそうだ。

ただし安倍氏の今回の決断は、選挙目当てという側面が見え透いている。それだけに、2001年の小泉政権の時のように支持率アップにつながるかどうかは分からない。

政権に批判的な報道を続けてきたことの「ツケ」か

最後に朝日新聞の誤報問題についても触れておきたい。先に触れたように朝日新聞は9日朝刊の1面トップで、政府が控訴して高裁で争うという内容の誤報を掲載してしまった。新聞が配達されてから間をおかずに逆の結論が出てしまっただけにダメージは大きい。

朝日新聞は同日夕刊1面で「誤った記事 おわびします」と掲載。翌朝刊ではおわびとともに、「政治部長・栗原健太郎」の署名で誤った経緯を説明する記事とともに「時々刻々」で検証記事を載せている。

検証記事は、厚労省や法務省などは控訴すべきだとの主張で、官邸内にも控訴を主張する声もあったが、政権浮揚を求める安倍氏が高度の政治判断で断念を決めたという内容だ。他紙の検証記事と大きくは違わない。それなのに朝日新聞だけが誤報を掲載したのは、最終的な首相の決断の取材が足りなかったことになる。

朝日新聞は、選挙で勝ち改憲を実現しようという安倍氏の執念を読み誤っていたのだろうか。それとも、日々政権に批判的な立ち位置の報道姿勢を続けてきたことの「ツケ」を払わされたということだろうか。

いずれにしても、安倍氏と朝日新聞の関係は今後もウオッチし続ける必要がありそうだ。

(写真=時事通信フォト)
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