日韓関係、日中関係でも「相互に侮辱しないこと」が最低のルール

日韓間、日中間の対立・紛争を巡る僕の考え方には、百田さんや百田さんファンからは猛反対の声が上がるだろう。

僕がよく言われるのは、韓国や中国に配慮し過ぎだ、ということだ。

僕は、日本人に対して「韓国や中国を侮辱するな」と言うのと同時に、韓国人や中国人に対しても「日本人を侮辱するな」と言う立場・見解だ。

相互に侮辱さえしなければ、どれだけ激しく論争しても、見解が平行線になっても、無益にはならない。相互の関係性の決定的な破壊にもならない。そう信じているからだ。

日韓併合、日中戦争という歴史を抱えている日韓間、日中間において、歴史認識が完全に一致することなどあり得ない。

当時の人たちの間では、謝罪する側、謝罪される側という立場が、明らかにもなっていたのであろうが、当事者ではない僕たちの世代、そしてこれからの令和世代と時を経れば経るほど、戦争や植民地政策に関する当事者意識が弱まってくる。他方、国、国民のプライドというものが強くなってくる。

そうなると、お互いに自国のプライドを強くもって、自分たちの主張を展開するようになるだろう。

そのときに重要なのは、「相互に侮辱しない」ということだ。そして歴史認識の違いはどうしても生じてしまうという相互の立場の認識だ。

その上で、とことん激しく論争し、持論を述べればいいと思う。

お互いがプライドをかけて持論を述べ合う中で、相互に侮辱をしてはいけないということと同時に、相手に実害を与えてしまうことも絶対にやってはいけない。あくまでも「主張の展開」、すなわち「口で言うだけ」にとどめるべきだ。相手に実害を与えてしまっては、相互の関係性が決定的に破壊されてしまう。

その意味で、韓国側が、旧日本軍だけをやり玉にあげる慰安婦像を設置したり、徴用工を巡って韓国内の日本企業の財産を差押えしたりすることはやり過ぎだ。韓国側は日本側に対してそのような実害を与えることなく、自国のプライドをかけて自らの歴史認識を述べるべきだ。そして日本側もそれに対して激烈に反論しながら、自らの歴史認識を述べればいい。

これまで日本側は、この手の話に口をつぐんでいた。そういう時代であった。しかし令和以後は、相互に侮辱や実害を与えない範囲で、さらには相互理解と相互リスペクトをもって、とことん激しく歴史認識をぶつけ合うべきだ。そうすることで、たとえ見解が平行線になったとしても、見えてくること、得られることが多々生まれてくるであろう。

(略)

(ここまでリード文を除き約3300字、メールマガジン全文は約2万0800字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.159(7月9日配信)を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【論争の作法】第1条「相互に侮辱してはならない」。百田さんとの激論、中国・韓国との議論でも必ず守るべきこと》特集です。

(写真=iStock.com)
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