マナーとデジタルは相性が悪い
まずは、先に述べたマナーが必要とされる「冠婚葬祭」について、可否をはっきりさせたい。
そもそもデジタルガジェットとは「新しいもの」というイメージがある。一方でマナーは伝統、つまり「古くからあるもの」と密接に関わっている。つまり、デジタルガジェットとマナーの相性はよろしくない。
しかし、デジタルガジェットは新しく、そしてさまざまな機能があるからと「マナー」と遠ざかったままでは、そのポジションは変わっていかない。思うに、敬遠する必要もなくて、単に使い方を工夫すればいいのではないだろうか。
そう考えながらリサーチを重ね、専門家の意見も聞いてみた。フォーマルウェアの販売員の経験を持つ知人や、葬儀関係者の知人は、「(スマートウォッチは冠婚葬祭でも)ありだけど、色は黒を基調としたものでベルトの素材も皮のもの、文字盤は落ち着いたもの」という。
いわゆる時計を着ける際に気をつけることとおなじである。もちろん通知機能をオフにするなど、あたり前のマナーを守ったうえでの話ではある。
つまり、冠婚葬祭でのスマートウォッチが「あり」か「なし」かではなく、「何を選ぶか」「どう使うか」ということになる。
考えてみれば、デジタルデバイスというのは「デジタル」なだけなのに「おもちゃ」という捉えられ方をされ、フォーマルな場所やマナーが必要な場所で敬遠されがちな気がする。しかし本質はその「使い方」にあるのではないか。
ものそのものではなく、人に危害や不快感を与えない使い方から思考をはじめるべきだ。