人呼んで「リーマンパスタ」なぜ粘度が高いのか

昼の休憩時間にパッと食べられて、おなかいっぱいになる。新橋のナポリタンは別名、「リーマンパスタ」と呼ばれている。その特徴は総じてどの店も粘度が高いことだ。職業柄、日々食べ歩いているが、新橋のリーマンパスタはソースが濃厚で、どろっとしているように感じられる。なぜ、粘度が高いのか。その理由については後ほど説明するとして、どんな店があるのかちょっと紹介しよう。

まず、「カフェテラス ポンヌフ」という喫茶店だ。新橋駅前ビル1号館の1階にあり、テレビなどメディアで紹介されることも多い。創業は1967年(昭和42年)という老舗。銀のお皿で提供されるナポリタンは650円。この価格もサラリーマンに愛される理由のひとつだろう。お昼時は行列必至で、ランチ時間が限られている多忙なサラリーマンはなかなか口にできない。こちらのナポリタンはケチャップ系だけれど、独特のソースに仕上げられている。

おススメはナポリタンにハンバーグが添えられている「ハンバーグスパゲティ」(850円)だ。ナポリタンも懐かしい味だが、ハンバーグもタマネギのシャキシャキが感じられる懐かしい味わい。セットには手作りプリンがついてきて、これも人気の理由のひとつだ。

「ポンヌフ」のナポリタン。撮影=下関マグロ

次は、僕がいちばん好きなナポリタンの店。JR新橋駅から歩いて2分、銀座ナイン2号館の地下1階にある「はと屋」だ。カウンターだけの老舗洋食店で僕は1980年代から通っている。

こちらもおススメはハンバーグとナポリタンのセットだ。丸1日寝かしたやわらかめの太麺が特徴だ。おいしさの理由を店の方に聞いたら、「秘伝のデミグラスソースが入っているから」とのこと。

「はと屋」のハンバーグとナポリタンのセット。撮影=下関マグロ

麺を口に運ぶとケチャップとバターの味が一気に

お次は、ナポリタンの聖地にふさわしいビルともいえる、ニュー新橋ビルにある。このビルの1階にある「むさしや」は、昼食時はたいてい行列ができている。

カウンター8席だけのお店で、外との仕切りは白いスダレだけというオープンエアな空間だが、入って座れば意外に落ち着くから不思議だ。看板には「創業明治拾八年」とある。創業が1885年(明治18年)だ。

こちらのナポリタンは、大盛りでなくてもかなりの量があり、かなり濃厚な味付けだ。くるくるとフォークを回し、麺を口に入れるとケチャップとバターの味が一気に押し寄せてくる。全部食べられるだろうかと思いながらも、おいしいので完食してしまう。食べ終わったら、もう当分ナポリタンはいいかなという気持ちになるが、気がつけばまたこの店の行列に並んでしまう。

オムライスにもたっぷりのナポリタンがついているけれど、スパゲティのナポリタンとは少し違う。これはこれで、わき役としていい存在感を出しているので、食べ比べてみるのもいいかもしれない。

「むさしや」のナポリタンとオムライス。撮影=下関マグロ