「本庶先生は、本質を見抜く力がすばらしい」

広瀬一隆『京都大とノーベル賞 本庶佑と伝説の研究室』(河出書房新社)

ちなみに小川は、東京大医学部の出身で、京都大には2013年に赴任した。ときに研究室に寝泊まりするほどのハードワーカーで、オプジーボの効果がある患者を見分ける方法にかんする研究もある。

京都大生え抜きではない小川だが、本庶については「ものすごく刺激を受ける」と強調していた。「本庶先生にはビジョンがあって、本質を見抜く力がすばらしい」。「本質を見抜く力」については、本庶を知る研究者が口をそろえて評する言葉だ。

科学者同士でしかわからない凄みなのかもしれない。(敬称略)

広瀬一隆(ひろせ・かずたか)
京都新聞 記者
1982年、大阪生まれ。滋賀医科大学を卒業し、医師免許取得。2009年に京都新聞社へ入社。在学中に7カ月半アジアを放浪した経験が、ジャーナリストを目指すきっかけになった。警察や司法を担当した後、現在は科学や医療、京都や滋賀にある大学の動きを取材している。iPS細胞をテーマにした連載も執筆した。人文学に強い関心をもち、哲学や生命倫理にかんする記事も多く書いている。
(写真=iStock.com)
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