「夫婦で124万円の納税」は高いのか?

では、@変換を使って国家予算を日本人1人当たりの金額に変換し、手触り感のある数字にしてみましょう。

分母となる日本の人口は約1億3000万人です。計算を簡単にするため、1億人を分母で仮置きして、各予算を@変換します。すると、各数字は図表2のように変化します。

数字で話せ』(PHP研究所)より

歳入は国民1人当たり101万円。税金が62万円で、公債が33万円です。

1人当たり年間62万円の税金を払っている、と考えると、急に感覚的に理解できるようになるのではないでしょうか。確かに所得税や固定資産税、あるいは消費税など含め、そのくらいは払っているという実感はあります。夫婦であれば、年間124万円の税金を払う計算です。

この税収によって、夜に出歩いても比較的安全な治安や、諸外国と比べてもかなり整ったインフラなどを享受できているわけですが、そのための対価が62万円ということです。

もちろん、多いと思う人も少ないと思う人もいるでしょうが、自分事として考えられるようになったことは確かだと思います。

税金をランチ代にたとえてみる

これらの数字のうち、ここ数年で最も増えたのが「社会保障」関連の支出です。現在は34兆円ですが、6年前にはこの数字は29兆円でした。つまり、1人当たりの負担が29万円から34万円に増えているわけです。月当たりで2万4000円から2万8000円くらいに上がった計算になります。

さらにいえば、国民年金や厚生年金、健康保険は、別途控除という仕組みで徴収されています。その金額は給与明細を見ればおわかりいただけるように、かなりの額。その額に加えて、税金から3万円弱が社会保障に使われている、ということなのです。

月3万円あれば500円のお弁当を60個買えます。ひと月当たりのランチ代がこのくらい、という人もいるでしょう。6年前にはこの数字が2万4000円ほどだったことを考えると、「結構、負担が増しているな」という印象を持つ人が多いのではないでしょうか。

その他にも、たとえば自身の業界規模を@変換してみるのもお勧めです。

経済産業省が公表している統計資料などから、各業界の売上規模がわかります。それを@変換することにより規模感がわかると、自社の戦略や目指すところが見えてくるはずです。

「我々の業界は今はまだ1兆円規模ですが、今後10人に1人が手にするような時代になれば、この倍になり得るのではないでしょうか」などと、未来の戦略を語ることができるようになるのです。