ジャーナリストとカメラマンの共通点とは

【田原】お客さんは初対面。自然な表情を撮るというけど、駒下さんはどうしてほっこりする写真を撮れるの?

【駒下】それは、3歩踏み込んで2歩下がることを意識してします。最初は「出会いは何だったんですか」「お子さんの名前の由来は何ですか」などと、お客様が話しやすい質問をどんどん投げかける。しゃべることでリラックスして、イケると思ったらサッと引き、お客様だけで会話している様子を撮る。

【田原】ジャーナリストも、相手にいかに本音をしゃべらせるかが大事。でもこれが一番難しい。

【駒下】ですよね。僕たちの場合、家族のお客様はやりやすいんです。お子さんと同じ目線で話してまずお子さんと仲良くなれば、親御さんも「この人はいい人」と警戒を解いてくれます。

【田原】駒下さんに人の懐に飛び込むスキルはあるのかもしれないけど、ほかのカメラマンはどうですか?

【駒下】契約前に全員とオンラインで面談をしています。そこで見ているのはコミュニケーション能力。何人か一斉に面談して、質問にきちんと答えられるかどうかはもちろん、自分が質問されていないときにも人の話をきちんと聞いているかどうかも見ています。極端な話、写真のレベルとコミュニケーション能力の二択なら、僕たちが一緒に仕事をしたいのは後者のある人。写真の技術は教育すれば後から伸びますが、コミュニケーション能力と人柄は補正が難しいので。

【田原】そこもジャーナリストと似てるね。ジャーナリストもキャラクターが大事で、そこは勉強して伸びるものじゃない。

インスタ世代が求める「写真加工」機能

【田原】いま駒下さんの会社の社員は何名ですか?

【駒下】20人です。

【田原】これからさらに大きくされる?

【駒下】そうですね。僕、最初は戦場カメラマンになろうと考えていたんです。でも、戦場の写真を撮るより、いまの普段の幸せに気づいてもらえる写真を撮ったほうが世界平和につながる気がして、カップル写真を撮り始めました。そういう意味では、事業を成長させて、より多くの人にラブグラフのサービスを使ってもらったほうが理想の世界に近づくんじゃないかと。

【田原】資金調達も積極的ですね。NTTドコモの投資会社などから出資を受けたそうですが。

【駒下】ドコモさんとは相乗効果が大きいと思っています。まずドコモには「dフォト」というフォトブックをつくるサービスがあって、お互いのサービスに相互送客が可能になります。もう1つ、すごくインパクトが大きいのが、ドコモのキレイ度判定という画像解析技術によるシナジー。これは、日本のフォトコンテストの受賞作品を解析したうえで、「この写真は入賞するレベルかどうか」を判定する技術。いままで僕たちは全国のカメラマンから送られてくる写真が納品可能なレベルかどうかを目視で確認していましたが、この技術を使えば自動で判定できます。