たった1日のインターンで学生は変わらない
リクルートキャリア「就職白書2019」によれば、2019年度のインターンシップ実施予定の企業のうち、「1日」のインターンを予定している企業が81.6%で最も多く、次に多い「3日以上1週間未満」は35.1%でした。インターンシップの実施期間に顕著にみられるのは、ワンデーインターンが大半を占めているという実態です。
先に触れた「キャリア体験」科目を教えた経験から言えることは、1日限りの職業経験では、企業見学の意義はありますが、大学生に行動変容をもたらすことはできません。企業側が、ワンデーという形式的なインターンを実施したところで、本来企業が採用したい人材を確保するという意味での、インターンによる選考はできないはずなのです。
「長期インターンからの就職」は悪なのか
いったん、出発点に戻りましょう。インターンとは何のためにあるのでしょうか。
インターンは、就業経験を積むことで、大学から社会への移行を円滑にするための教育プログラムです。企業側からみれば、次世代を育てるための育成プログラムなのです。
長期インターンの結果、インターン先企業での就職を希望することは、何ひとつ悪いことではありません。しかし、企業がインターンを採用のためだけの「手段」として捉えると、意義があまりに矮小化されます。
インターン生を受け入れる企業は、社会で働いていく上で必要な知識や経験をそのまま包み隠さず、インターン生に教えてください。新人社員に現場でフィードバックするのと同じように、インターン生にもフィードバックをお願いします。
これからインターンが「採用」という言葉に全て置き換わるようなことがあれば、それは新卒採用の後退を意味します。インターンには「次世代育成」という意味合いを残し続けていかなければなりません。というのも、私が日頃から大学生と接していて感じるのは、社会が求める人材へと育っていくには、それなりの時間がかかるということなのです。