大学2年生を対象に1年間のインターン講義
そもそもインターンにはどのような役割があるのでしょうか。私は平成20年4月から法政大学で「キャリア体験事前指導」と「キャリア体験実習」という2つの科目を担当しています。受講対象は大学2年生で、1クラス25人の人数制限があります。5日間以上のインターンシップに参加し、その職業経験を報告書にまとめ、プレゼンすることが単位取得の条件です。
講義では、エントリーシート作成、自己分析、業界分析、企業分析、模擬面接、グループワークといった就職活動で必要とされるスキル対策のほか、企業関係者を特別ゲストに招聘した企画会議や商品開発プレゼンなどを実施しています。
本科目には、いくつかの特徴があります。
(1)受講学生が2年生であること
(2)1年間の継続的なプログラムであること
(3)担当教員がインターンシップの進捗を把握し、その都度フィードバックが可能であること
本科目は、教える側としても非常にやりがいのある科目です。というのも、この科目受講を通じて、学生が「主体的に考える力を育んでいる」と確信を持つことができるからです。
学生の時間意識、言葉遣いが変わる
学生たちは2年生の長期休みにインターン経験を積みますが、休み明けに会うと、誰もが見違えるほど成長しているのです。
企業でインターンをした学生は、まず、時間に対する意識が大きく変わります。ビジネスシーンで遅刻をしないことは、当然のマナーです。何かの事情で遅れる場合には、必ず連絡を入れるようになります。また、大学では授業に遅れてくる学生も少なくありません。しかし、前期に遅れがちだった学生も、インターン後の後期には決められた時間に行動するようになります。
また、言葉使いも変わります。社会人ゲストを招聘した際に、丁寧な言葉使いができるようになるのです。
時間意識や言葉遣い、身なり等の変化は初歩的な進歩にすぎません。より大切なことは、講義に対する向き合い方が変わることです。漫然と授業を受けるのではなく、講義自体がうまく進んでいるのかを見る「観察眼」が身につきます。