「フィールドワークの一環として、大学や研究機関、企業、経済団体などが実施しているサマースクールやリーダーシッププログラムなどに参加するのも有効です。そういう場に集まる全国トップクラスの進学校の生徒らのコミュニティに加わることで、それまで入ってこなかった情報や刺激が得られます。自分のビジョンを築くうえで、とても有効なきっかけとなるのです」
志望理由書を、本当に本人が書いたのか
こうして作成した志望理由書で、第一関門を突破できれば、その次の選抜試験である面接や小論文が待っている。
「面接時間は1人に約30分も取るケースもありますが、多くは10分程度。その時間内で何を見るかといえば、『本当に本人がちゃんと志望理由書を書いたのかどうか』。内容を突っ込まれたときに、具体的に答えられなければなりません。その際、フィールドワークを通しての体験や調査に基づいた内容であれば、具体的な回答ができます」
無論、面接そのものの練習も必須だ。
「たとえば、『高校時代に印象に残った出来事はなんですか?』と問われ『高校2年生のときの文化祭です』と答える。一問一答としては間違いではありませんが、そこで終わっていては何もアピールできません。面接官が知りたいのは、“何か”よりその“理由”です。面接時間を10分とすると、回答の分量は面接官の質問回数が8回に収まるくらいが妥当です。気付かぬうちに同じ話を繰り返すのにも注意。家族が模擬面接をしてあげたり、想定質問に答えている様子をスマホで動画撮影をして確認するのもいい練習になります」
いうまでもなく、面接官の数は1人とは限らない。
「ある最難関大学では、面接官として圧迫面接をする人、優しく諭すように話す人、司会役の3人をそろえます。うち1人は、志望理由書に書かれた分野の専門家。高校生が面接試験でいきなり威圧的な質問をされたら思わずひるんでしまい、ついブレたり、日和ってしまうものです。でも、そうなったら間違いなく不合格。志望理由書に書いたことがたとえ全否定されても、『やり切ります』と答えられるよう備えておかなければなりません」
面接で後ろめたさを感じていたり、嘘をついているときについ、出てしまう動きがある、と語るのは、身体と心の関わりに詳しいパントマイム・アーティストで、身体表現コンサルタントとしても活躍する荒木シゲル氏だ。