▼子どもは「ソフト」より「OS」を鍛えよ
「すぐに仲良くなれる」という才能への気付き
こうした新しい形の大学入試に臨むわが子に、親は何をしてやれるのか。
「学校や予備校がやってくれる領域に、親は絡むな」と提言するのは、教育デザインラボ代表理事の石田勝紀氏だ。
「パソコンに例えると、家庭の役目は子どもの“OS”のバージョンアップ。OSの上に乗っかる英数国理社といったアプリケーションソフトのほうのバージョンアップは学校や予備校の役目です。OSのバージョンが低いと最新ソフトは動かない、という関係にあるわけですが、学校にOSの鍛錬まで期待してはいけない」(石田氏、以下同)
ソフトは親の目につきやすく、その分ついつい口出ししたくなる。しかし、親がすべきはワードやエクセルではなくその土台、ウィンドウズのようなOSの機能を磨くことなのだ。
では、まずOSとは、具体的に子どもの何を指すのだろうか。
「20年度の“大学入試改革元年”以降、子どもに求められる力の土台は思考力、判断力、表現力。これはまさに現在のAO・推薦入試に必要な力です。地頭という言い方もしますが、後天的にも1、2年で間違いなく伸ばせます」
子どものOSに当たるこの3つは、家庭で培われる。日常生活でできていないのに、面接のときだけこれらを出せるわけがない、と石田氏は強調する。
「まず思考力を高めるには、『なぜ?』という言葉を子どもに問いかけ続けることです。人は問われたことに意識や視点を向けます。それによって思考力が高まるわけです。それを日常的に行っていると、子どもが自ら『なぜ?』を探求するようにもなります」
大事なのはWHYとHOW、「なぜなのか」「どうするのか」を自然に日常に組み込むことだという。面接で「なぜ?」と問われても、その思考回路が身についていれば、相手の質問の意図を過不足なく察知し、何を聞かれても的確に答えられるようになるという。
「判断力については、『自分のことは自分で決める、自分でやる』を徹底させること。進路も含めて、親の路線に乗せようとする行為はNG。高校生ともなったら、親は何ごとについてもサポートにとどめるべきです」