▼面接は「志望理由書」の中身で決まる

ビジョンを得たきっかけと行動力

では、AO・推薦入試とは実際にどのような試験なのだろうか。AO入試は自己推薦、推薦入試は学校長の推薦が必要という大きな違いがあるが、面接はすべて必須なうえ、ほかにも類似点は多い。

面接を受ける前にまず関門となるのが「志望理由書」。後述するが、面接とは非常に密接に関わってくる。

「大学に入って何をやりたいのか、将来何をしたいのかといった“ビジョン”が具体的であるほど、プラスに評価されます。『国際的に貢献したいから、国連やNGOで活動したい』程度では落とされる可能性が高いですね。一方、入学後にそのビジョンどおりに歩む学生がさほど多くないことは、大学側だって百も承知。だから、どんなに立派なビジョンが書かれていても、それだけで高い評価につながる可能性は低いと考えたほうが賢明です」

となると、重視すべきは何なのか。

「そのビジョンを描くに至った“きっかけ”がどれほど切実なものだったか。そして、そのきっかけに出合い、ビジョンを描くまでどれだけの“行動”をしたか、そして、それら3つがきちんと繋がっているかどうかが問われます。つまり、きっかけとビジョンを繋ぐ行動力を磨くことがポイントです」

しかし行動力を磨くと言われても、いったい何をどうすればいいのか。

「調査研究の対象となる現場や人を実際に訪ねる、フィールドワークを重ねればいいのです。高校1年生から始められれば理想的。最初の段階では、何をテーマにするかを明確に設定する必要はありません。『自分が動くことで日常では接する機会がないような大人が会ってくれて、真剣に話をしてくれる』という成功体験を積むことです」

その取っ掛かりとして、たとえばこんな意外なやり方がある。

「自分が住んでいる地域の地方議会議員に、『いま議会で話題になっていることについて教えてください』などとお願いすれば、丁寧に応対してくれます。間もなく18歳で選挙権を得る高校1、2年生は議員として味方につけたいし、うまくいけば、その保護者の票も期待できるのですから」

もちろん、議員に1度会って即ビジョンが描けたり、研究テーマが見つかるわけでもあるまい。フィールドワークへの抵抗感を小さくするために経験を積み重ね、その中からどこかのタイミングでテーマが見つかればいい。