無敵の安倍自民党が小池氏に2敗している
二階氏が小池氏にラブコールを送ったことが大きなインパクトを与えたのはなぜか。自民党にとって小池氏は「最大の敵」の1人なのだ。
2016年の都知事選に出馬した小池氏は、自民党などが推した候補に大差をつけて圧勝。翌年の都議選でも自身が率いる「都民ファーストの会」を圧勝に導き、自民党の古手都議たちを次々に落選の憂き目に遭わせた。
安倍晋三首相は12年暮れに政権に復帰してから6年以上の間、安定的に政権を維持し、2度ずつ行われた衆院選、参院選でも勝った。しかし16年、17年の首都決戦での敗北は政権にとって痛撃だった。さらに17年秋、衆院解散を前に小池氏が希望の党を立ち上げた時、安倍氏ら自民党幹部たちは負けを覚悟して青ざめたという逸話も残る。連戦連勝の安倍自民党は、小池氏を敵に回すと分が悪い。苦手なのだ。
もちろん小池氏を自分たちの方に取り込むことによって来年の知事選で「負けない」ようにするという高等戦術も選択肢にはあるだろう。しかし、小池氏と感情的なしこりの残る党都連は絶対に反対だ。都連側への根回しもないまま、知事選の1年以上も前に「全面協力」を約束するのは、あまりにも拙速だ。
二階氏の発言があった4日夜、安倍氏は首相公邸に与野党の国対幹部らを招いて宴席を持った。二階氏の発言について、安倍氏はひと言「いくらなんでも早いなあ」とつぶやいた。まさに党幹部たちの本音である。
「小池再選」と「安倍4選」を描く80歳の二階氏
ここで二階氏の本音を探っておきたい。80歳になった二階氏。交代説がささやかれるようになった。その空気に抗するために政治の動きをリードしたい。
小池氏再選の流れをつくることも、その1つだ。自身が描いたシナリオ通り、再選の流れができれば二階氏の続投の目も出てくる。二階氏は「小池再選」の先に、さらににらんでいるものがある。「安倍4選」だ。二階氏は既に非公式な席で、自民党則を変えて安倍氏が4選できるようにすべきだという動きを始めている。
20年の都知事選、21年の総裁選の功労者となれば、権力を維持することは可能だ。そういう野心が透けてみえるだけに、今回の「全面協力」発言は党内でも評判が悪いのだ。