そして、積立投資をしているのであれば、とにかく愚直に積み立てを続けること。ドルコスト平均法の効果が最大限に発揮されるのは株価が下落したときなのですから。これは投資の基本ともいえる初歩的なことですが、パニック状態ではそのことも忘れてしまいがちです。基本を忘れた者が戦場に立てばどうなるか、言わずともわかるでしょう。

株価が急落した際は、自分のリスク許容度をチェックするいい機会です。上昇相場の際は気が大きくなり、追加投資するパターンがよく見受けられます。しかし子どもの教育費や住宅購入資金など、使用目的が決まっているお金にまで手をつけてしまうと、下落した際に取り返しのつかない事態を招いてしまいます。上がっても慢心は禁物です。

ポートフォリオをこまめにチェックし、金融資産をリバランスするとともに、どのくらいまでなら投資に回して大丈夫なのかを再確認し、絶対になくなってはいけないお金は預貯金や個人向け国債などの安全性の高い資産に分けて持っておくようにしましょう。

一方で、下落相場はファンダメンタルズの良い銘柄を割安で買うチャンスでもあります。ただし、下落局面ではそれが底値とは限りません。どれだけお値打ちに見えても1度に買うことは控え、時期を分散して投資することを心がけましょう。

また、値動きが気になって仕事に支障が出るほど株価をチェックする、下落相場で眠れないくらい不安を感じてしまう人は、思い切って投資をやめるorいったん休むのも一手。「休むも相場」の投資格言通り、相場全体が見えなくなったら休むことも大事な投資の要素なのです。

黒田尚子
ファイナンシャルプランナー
CFP1級FP技能士。日本総合研究所に勤務後、1998年にFPとして独立。著書は『50代からのお金のはなし』など多数。
(構成=プレジデント編集部 写真=iStock.com)
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