乳幼児をあやすツールとしては使うべきではない
ところで電車の中やレストランで乳幼児にスマホの画面を見せたり、触れさせたりする親を見かけることがある。乳幼児をあやすツールとして使っているのだろうが、これには大反対である。
乳幼児はスマホの映像や音楽に強い関心を示す。1歳を過ぎると、多少いじることもできるようになる。しかし乳幼児がスマホを長時間にわたって見ていると、視力や眼球の動きを阻害するだけでなく、言葉の発達を遅らせてしまう。乳幼児は親や兄弟に話しかけられることで言葉を覚えていく。それがスマホに夢中になると、話しかけても反応しなくなり、その結果、言語をつかさどる脳の機能に影響が出る。
子供への解禁といっても、乳幼児にスマホは大敵であることを自覚してほしい。
読売は「スマホ依存が一層、深刻にならないか」と反対
新聞の社説はどう書いているか。2月24日付の読売新聞の社説は「学校にスマホ 迅速な解禁の弊害を直視せよ」との見出しを付け、「子供たちのスマートフォン依存が一層、深刻にならないだろうか」と懐疑的に書き出す。読売は学校でのスマホ解禁に否定的なようだ。
続いて「文部科学省が、スマホなど携帯端末の学校への持ち込み解禁を視野に、新指針を策定する」と指摘し、「現在は『小中学校は持ち込み禁止』『高校は校内で使用禁止』が原則だ。解禁されれば、大きな転換となる。柴山文科相は『学校を取り巻く社会環境や児童生徒の状況の変化』を理由に挙げる」と解説する。
さらに読売社説は、発生が登校時間帯に重なり、女子児童が倒れたブロック塀の下敷きになって死亡した大阪北部地震を契機に保護者から持ち込み解禁を求める声が多く出ている状況や、小中学生の多くがスマホや携帯電話を所持している現状を挙げる。
だからこそ小中学生に付き合い方を教える必要がある
そのうえで読売社説は主張する。
「だが、万一の災害のために、子供たちに毎日、スマホなどを持たせる必要があるのだろうか」
学校にスマホを持ち込むのは、防災のためだけではない。沙鴎一歩が指摘したように学校でスマホの正しい使い方を学ばせるうえでも、持ち込みが必要なのである。そのところを読売社説はどう考えているのか。
読売社説は「授業中の使用や盗難などのトラブルをどう防ぐか。SNSを介したいじめを助長しないのか。懸念は尽きない。携帯端末を持っていない子供への対処も考える必要があるだろう。拙速な解禁は避けて、慎重に検討すべき」とスマホの欠点を並べるが、読売社説自身が「スマホが緊急時に役立つ機能を備えているのは事実だ」と書いているようにスマホの利点は大きい。
要は、スマホは両刃の剣なのである。だからこそ、小中学生にスマホとの付き合い方を教える必要があるのだ。