開成、麻布、筑駒の合格発表現場の「歓喜と落胆」
▼2月3日日曜 13:00@開成
2月3日は難関男子校の合格発表が重なっている。昼すぎの12:15。JR山手線・西日暮里駅からすぐの開成(荒川区)へ。東京大学の合格者数で37年連続1位の名門だ。発表の瞬間まで小一時間あるので、大手の塾関係者と報道陣くらいしかいない。
12:30、親子がぞろぞろやってくる。この日は日曜だったので父親の参加率が高い。祖父母の姿も見うけられる。ある父親が息子に「あの入り口のオブジェは、この角度からみると『門』という文字になっているんだよ」と説明していたので、確認したら本当だった。開成OBの父か、開成マニアの父か、どちらかだろう。
12:45、掲示前は黒山の人だかり。筆者と同じように集団に入らず遠巻きで見ている母子が数組。来年の受験に備えて、予行練習をしているようだった。ある子が母親に言っていた。「ママ、ここの中学に入れたら、もう塾行かなくていいんでしょ?」。母は息子の発言が予期せぬものだったのか、無反応。本当は「いいえ、今度は東大合格を目指して、鉄緑会という塾へ通うのよ」と言いたかったかもしれないが……。
12:52、まだ発表時刻13:00にならないのに、「よっしゃ」という父親の声が聞こえた。どうやら最初の1枚がはられたらしい。開成は、合計で6枚。全部はられるまでタイムラグがある。しかし、他校と同じように大騒ぎをする人はいない。塾の友達などが不合格かもしれないので、配慮して大声を出さないのだ。13:12、すでにあたりは落ち着いてきた。
筆者は現地で偶然ママ友に会った。下の息子さんが受験したのだが、結果は不合格。その場合でも、塾の先生に結果を伝える決まりになっているらしいのだが、息子さんは「行きたくない」と下を向いていた。合格者が記念撮影のために続々と集まる中、わざわざ生徒に不合格を伝えさせるというのはあまりに酷ではないか。
▼2月3日日曜 15:00@麻布
次は開成と並ぶ男子御三家、麻布(港区)だ。14:40に到着。案内には「15:00から中庭にて掲示」と書いてあったが、到着時にはすでに貼られていた。麻布には報道陣がほとんどきていないので静かだ。塾からきたスーツ姿のスタッフが嬉々として合格した子を撮影している。
▼2月5日火曜 15:00@筑波大学付属駒場中
2月5日は開成と並ぶ最難関校として知られる国立の男子校、筑波大学附属駒場(世田谷区)だ。14:15、発表時刻の45分も前にもかかわらず4、5組の親子がいた。見たところ、「合格の自信あり」といった雰囲気。5校目ともなると塾の顔ぶれも一緒。14:50、予定より10分早く番号が貼られた。
数百人の合格者を出す私立と異なり、ここは139人。だから、紙は1枚だけ。近くにいたお父さんが、合計何人か数えて「例年と一緒だね」と。合格者数の少なさに「これはすごいね」と苦笑いしながら帰る親子。おそらくチャレンジ校として受験し、不合格だったのだろう。他の不合格の親子も落ちこみはさほど大きくない様子だった。開成などほかの学校に合格している子も多いのだろう。