「可能な限り質疑に応じるべきだった」
新聞各紙の社説は問題の7分会見をどうみているのか。1月16日付の読売新聞の社説はこう指摘する。
「五輪招致に関する疑惑が払拭されていない以上、丁寧な事情説明が必要となる」
「相場よりかなり高いとされる、2億円余の支払いは適正だったのか。コンサル会社は、それに見合うどんな活動をしたのか。こうした疑問点について、16年の調査報告書は説明が不十分だった。より明確な回答が求められよう」
そのうえで主張する。
「それにもかかわらず、竹田氏の会見は、質問を受け付けず、書面を読み上げるだけで終わった。捜査中で詳細を語りにくい事情はあるにせよ、可能な限り質疑に応じるべきだったのではないか」
読売社説はその冷静さに定評があるが、この社説も捜査を受けている竹田氏やJOCに配慮しながら質問に応じる姿勢を求めている。
「東京五輪のイメージが傷つきかねない」
毎日新聞の社説(1月16日付)も「五輪招致の正当性が問われる事態をどうとらえているのか。対応に疑問が残る記者会見だった」と書き出し、「招致を巡る裏金との疑念がもたれている以上、コンサルタント費の使途についても責任ある説明をする必要がある。このままでは東京五輪のイメージが傷つきかねない。情報公開に進んで応じるべきだ」と締めくくっている。
毎日社説も読売社説と同様、冷静に竹田氏側に対して適正な情報の公開によって説明責任を果たすよう求めている。
「組織の責任者としての自覚も資質もない」
やや感情的なのは1月17日付の朝日新聞の社説である。
「あきれたのは会見した竹田氏の振る舞いである。疑惑を否定するメモを読み上げただけで質問に応じず、わずか7分間で席を立った。国内はもちろん、外国メディアも一斉に批判した」
「竹田氏は会見で、五輪準備に影響を与えかねない状況を招いたことを謝罪したが、説明責任を放棄した自身の行動が、事態をさらに悪化させていると認識しなければならない」
「あきれた」「放棄した」「認識しなければならない」など強い語調で竹田氏を批判する。沙鴎一歩は決して竹田氏に与すわけではないが、朝日社説には品性が要求される社説の在り方を再考してほしい。
さらに朝日社説は「竹田氏は会見で『私自身は契約に関し、いかなる意思決定プロセスにも関与していない』と釈明し、最後に書類に押印しただけだと述べた。組織の責任者としての自覚も資質もないことを、明らかにしたに等しい」とも書く。
あの7分会見の劣悪さを考えると、朝日社説が「自覚も資質もない」と批判するのは理解できる。