テニスの道をあきらめ、ECサイトで「エアマックス」を販売
【田原】高校でさっそく事業を始めたそうですね。
【康井】中学生のころはテニスに打ち込んでいて、全国大会にも出場しました。高校にあがると、まわりにはプロになって海外遠征したり、スポーツ推薦で強豪校に転校する仲間が増えてくる。それを見て私も将来のことを考え始めたのですが、家族に相談すると、父親から「おまえが進む道はビジネスだろう」と反対されまして。それを素直に受け止めて、プロにならないならときっぱりやめて、ビジネスの道に進むことにしました。手始めに、目の前にあるものをネットで売ってみようと考えたのが最初の商売体験です。16歳のときでしたね。
【田原】目の前のものを売るって、どういうことですか?
【康井】自分でWEBサイトをつくって、スニーカーや洋服を売りました。ファッション系のサイトです。
【田原】洋服って、康井さんは売るほどたくさん持ってたの?
【康井】わらしべ長者みたいなもので、最初はたまたま持っていたスニーカーを販売しました。それで少しお金が入って、同じようなスニーカーを仕入れた。そうやって商売の規模を少しずつ大きくしていきました。
【田原】仕入れるって、高校生なのに安く仕入れられるルートを持っていたんですか?
【康井】いえ、安く仕入れたのではなく定価で仕入れて、二次流通で売りました。当時、「エアマックス」というナイキのスニーカーに代表されるように、入手困難な商品は定価の数倍で売れたんです。
【田原】入手困難なら、康井さんだって手に入らないんじゃないですか?
【康井】あの手この手で入手していましたね。店員さんと仲良くなって予約を確保してもらったり、出版社の人と仲良くなって雑誌の掲載の情報をもらったり。
【田原】だってあなた16歳でしょ。大人の店員とどうやったらコネができるんですか?
【康井】仕入れもそうですが、販売するときは店舗の棚を借りて、私が仕入れてきた商品を置かせてもらったりもしていたので。売れたら私と、お店で利益をシェアしていました。お店も儲かるので、邪険にはされませんでした。
【田原】売れたらリベートをあげるわけね。出版社というのは?
【康井】「次の号で、あの芸能人がこの靴を履いて載るよ」と教えてもらったら、雑誌が出る前にその商品をいくつか買っておきます。雑誌が発売されると話題になって、定価以上で売れました。
【田原】雑誌の編集者にもリベート払うの?
【康井】さすがに、それはしてなかったです。当時は「早く大人になりたい」思いが強く、大人がいるところにいろいろ首を突っ込んでいて、かわいがってもらっていましたね。