韓国サムソンが宣言した売り上げ10年で4倍増!

各地で経済成長を牽引する企業家のエネルギーも凄まじい。私の友人の劉積仁CEOが率いるニューソフト(NEUSOFT)は中国最大のソフトウエア・ソリューション企業だ。91年の創業だから今年で18年目だが、社員数は1万6000人に達し、瀋陽、大連、成都、南海にIT系大学を中核とした巨大ソフトウエアパークを築いている。そこに技術者を求めて外資が集積し、自社のみならず地元の経済発展に大きく貢献している。

劉CEOは、もともとは瀋陽にある東北大学でコンピュータサイエンスの教授をしていた人物で、18年前の同社立ち上げにあたっては、金がなかったので情報通信機器メーカー・アルパインに5000万円を出資してもらい、50対50で合弁会社を設立。それが今や時価総額3000億円の大企業に成長した。MRIやCTといったハイテク医療機器を、欧米メーカーの半値以下でつくり出す底力に天下のフィリップスが恐れをなして、同社との合弁事業を決めたほどだ。

私は劉氏を10年以上にわたって見続けてきたが、目線の高さ、志の高さでここまできたような人物だ。やると決めたら即実行。メールを送っても必ず数時間以内に返事が来るほどの緊張感の高い経営者だ。

人材育成が必要と思えば、すぐにニューソフト大学を設立。またたくまに大連、成都、南海の3カ所にキャンパスをつくってしまった。大連だけで生徒数1万8000人。しかも全寮制で2万人分の寄宿舎が併設されている。大連近郊の丘の上にある大学施設は壮大威容。雲がかかっていたら幻かと思うような建物群である。

韓国も負けてはいない。この10月、サムソングループは10年後の20年までに今の4倍の4000億ドル(約36兆円)の売り上げを持つ企業になることを宣言した。この規模の企業などというのは世界にも2~3社しかないわけで、現状10兆円の事業規模からすれば、家電や半導体などのエレクトロニクスはもちろん、サムソンが手掛けているあらゆる事業分野で世界一にならなければ達成できない数字だ。