国民主権というものを採用した現代日本社会において、国民からの支えを完全に無視した制度など成り立たない。現代社会を良いか悪いかどのように評するにしても、国民の納得性を無視した天皇制は成り立たない現実を認識すべきだ。

そのような意味で、国民の敬慕の念の発生源である「おつとめ」や「被災地お見舞い」などの「象徴としての行為」を果たすことが困難となりつつある今上天皇が譲位されることは、当然のことであり、本来なら国民の声を基にした日本政府や国会の方から、もっと早くに譲位の制度を設けるべきだったと思う。

頑なに譲位に反対するインテリたちは、陛下の「人間」の部分に全く配慮しない頭でっかちな連中だ。

保守政治家は本当に「天皇制維持」を第一目標と考えているか?

この日本独特の天皇制は、僕は今後も維持すべきだと思う。ところが、「日本の国柄の柱は天皇制だ」と強調するいわゆる保守政治家・保守論客の連中に限って、本気で天皇制を維持しようとしているのか疑問だよ。

これは安倍政権も同様だ。保守政治家・保守論客は「男系男子の天皇」にこだわる。確かに、今上天皇に至るまで男系男子で繋がってきたのだから、これを今後も守るのは当然だという見解はもっともである。

これまでも8人10代(2人は2度天皇に就く重祚)の女性天皇が存在するが、全て男系男子天皇が即位されるまでのワンポイントリリーフ的な存在で、男系の女性天皇であり、その後男系男子に皇位が継承されている。ゆえに男系男子による万世一系は崩れていない。

このようなものは日本にしか存在せず、世界に誇れるものだ。

しかし現在、男系男子による天皇制を今後も維持できるかどうかが非常に危うくなっている。

それは男系男子による天皇制を維持するにあたって必要不可欠な「ある大前提」について誰もが口を閉ざしているからだ。特に、男系男子による天皇制維持を声高に叫んでいる保守政治家・保守論客たちがダンマリを決め込んでいる。