グローバルな株安と急激な円高につながる恐れ
英国のEU離脱がグローバルな株安と急激な円高につながる恐れにも注意を要する。18年後半に入り、米中通商摩擦の激化や世界景気の減速が意識され、世界の金融市場は不安定な地合いとなっている。12月にはグローバルな株安が深刻化し、円高も進むなど、リスクオフの流れが強まっている。
こうした中で、英国がノーディールでEUから離脱することになれば、相場の悲観色は一気に強まることになるだろう。17年6月の国民投票時の様に、一日に10%近い株価の暴落や1ドル100円を割るような急速な円高が生じる可能性も十分考えられる。株安円高が深刻となれば、日本景気も悪化が免れない。
なおどのような結果になろうと、英国に展開している日系企業は英国との付き合い方を抜本的に考え直さざるを得ないだろう。とりわけ英国に生産拠点を構える製造業は、為替相場や通商環境が安定するまでに長期の時間を要すると考えられる中で、大陸への拠点の移管を本格的に検討する時期が来るかもしれない。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部 研究員
1981年生まれ。2005年一橋大学経済学部、06年同大学院経済学研究科修了。浜銀総合研究所を経て、12年三菱UFJリサーチ&コンサルティング入社。現在、調査部にて欧州経済の分析を担当。