安田氏は、21世紀型能力を養うためには、リベラルアーツ教育の実践校もおすすめだと言う。
「都立で言えば、日比谷、西、戸山などの伝統校では、受験のために教科を絞らず、幅広く自由に学ばせます。地方のトップ公立高も、同様の傾向がありますね」
さらに、多彩な経験ができる学校も、社会を生き抜く自主性や意欲を養えると言う。たとえば、洗足学園や市川では、コンクールやコンテストなどへのチャレンジを、学校をあげて推進している。
「自分の体験を発表したり、生徒同士が情報交換する学校も多い。身近な友達がチャレンジする姿は、大きな刺激になります」(安田氏)
また、森上氏も多彩な体験は、「AO入試で活かせる」と話す。16年度より私立大学の定員厳格化が実施され、17年度には多いところでは一般入試の合格者数が3割もダウン。その分、AO入試枠を各大学が増やしている。国立大学も、定員の3割をAO入試で取る方針を発表。今後、AO入試枠は拡大傾向にあるのだ。
理系女性、いわゆるリケジョの育成も教育改革の柱の1つ。その動きを受けて、女子校の理系進学者が増えていると森上氏は話す。
「豊島岡女子学園、鴎友学園女子、吉祥女子、洗足学園などは理系進学に力を入れていますね」
豊島岡女子学園では、最先端の科学技術を使った「モノづくりプロジェクト」などが評価され、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されている。SSHとは、文部科学省が科学・理数教育が充実した高校を指定する制度。安田氏は「SSH認定校は、難関大学への進学者が多い」と言う。理系進学を考えているならチェックしよう。
また、芝浦工業大学附属、学校法人大阪医科薬科大学と合併した高槻、聖光学院など、独自プログラムを展開している学校も、人気が高まっている。
【中曽根氏】
卒業生にどんな人がいるかは参考になります。これからは出身大学などに意味がなくなります。中高は自分の核をつくる時代。どんな核をつくれる学校なのかが見えてくると思います。
【森上氏】
財務諸表が読めるならば、都道府県庁で各学校の情報請求ができます。実は赤字の学校って多いんです。もし赤字であれば、その原因を学校説明会などで質問してみてもいいでしょう。
【安田氏】
教室の清掃状況で、落ち着いて勉強できる環境かがわかります。また、サイエンスコースがあるのに実験室がお粗末、英語コースがあるのに図書館に洋書がないなどもNGですね。